グリーンボンド
当社は2018年5月に外航海運会社として世界初のグリーンボンドを発行したことを皮切りに、ESG経営の一環として、ESGファイナンスの深度化を図っています。
特に環境投資への取り組みを幅広いステークホルダーの皆さまに発信するとともに、環境負荷の低減を可能とする技術を通じて持続可能な地球社会の実現に貢献します。
日本郵船 第2回グリーンボンド
概要
名称 | 日本郵船株式会社第48回無担保社債(日本郵船グリーンボンド) |
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発行日 | 2024年4月17日 |
条件決定日 | 2024年4月10日 |
発行年限 | 10年債 |
発行額 | 100億円 |
クーポン | 年1.175% |
資金使途 |
中期経営計画に掲げた「2050年に向けた船舶燃料転換シナリオ」で予定する投資(新規支出及び既存支出のリファイナンス)
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フレームワーク | |
社債要項 | |
発行登録追補目論見書 | |
社債格付 | AA-(株式会社 日本格付研究所) |
適格性に関する第三者評価
セカンド・パーティ・オピニオン
当社は、2021年7月に「グリーン/トランジションボンド・フレームワーク」を策定し、独立した外部機関であるDNVビジネス・アシュアランス・ジャパン(株)(以下、DNV)よりセカンド・パーティ・オピニオンを取得しました。当社はこのフレームワークに則り、2021年7月および2023年7月にトランジションボンドを発行致しました。
また、2024年1月に「グリーン/トランジションファイナンス・フレームワーク」の改訂を行いました。このフレームワークはDNVにより、「グリーンボンド原則2021(ICMA)」、「グリーンローン原則2023(LMA他)」、「環境省グリーンボンドガイドライン2022年版」、「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック2023(ICMA)」及び「金融庁・経済産業省・環境省クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(2021年5月版)」との適合性に関するセカンド・パーティ・オピニオンを取得しています。
今回、当社2回目のグリーンボンドを発行するにあたり、同機関による「グリーン/トランジションファイナンス・フレームワーク」のANNEXを取得し、本グリーンボンドのフレームワークへの適格性を改めて確認いたしました。
投資表明投資家一覧
日本郵船グリーンボンドへの投資表明をして頂いた投資家をご紹介します。
(2024年4月10日時点、五十音順)
- アセットマネジメントOne株式会社
- 岩手県医師信用組合
- えちご上越農業協同組合
- 越前信用金庫
- 遠州信用金庫
- 学校法人 関西大学
- 甲賀農業協同組合
- 株式会社静岡中央銀行
- ジブラルタ生命保険株式会社
- 諏訪信用金庫
- 第一生命保険株式会社
- 大東京信用組合
- 鶴岡信用金庫
- 東奥信用金庫
- 東春信用金庫
- 陶都信用農業協同組合
- 東濃信用金庫
- 学校法人 獨協学園
- 長岡信用金庫
- 長野信用金庫
- 成田市農業協同組合
- 新潟信用金庫
- 沼津信用金庫
- 農林中金全共連アセットマネジメント株式会社
- 飯能信用金庫
- 東びわこ農業協同組合
- 福岡信用金庫
- 富国生命保険相互会社
- 富士宮信用金庫
- プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社
- プルデンシャル生命保険株式会社
- 松本信用金庫
- 三島信用金庫
グリーン/トランジションボンド・フレームワーク概要
1.GHG削減目標
NYKグループESGストーリー(2023年11月発表)における当社グループのGHG排出総量削減目標(基準年:2021年比)は以下の通りです。
2030年度におけるScope 1(GHGの直接排出)とScope 2(電気などの使用に伴う間接排出)の総量を2021年度対比で45%減としました。また長期目標として、2050年度におけるScope 3(サプライチェーン上の排出)も含めた総量をネット・ゼロとしました。「GHG排出量削減」と「GHG除去」の2つのアプローチを取り、これらの目標の達成を目指します。
- 関連リンク:
2.調達資金の使途
グリーン/トランジションファイナンスで調達した資金は、下記のプロジェクトに関連する新規支出及び既存支出のリファイナンスへ充当します。今回のグリーンボンドは、そのうちアンモニア燃料船に充当する予定です。
(1)グリーン適格プロジェクト(グリーン/トランジションファイナンス共に充当可能)
再生可能エネルギー(洋上風力発電、グリーンターミナル等)、アンモニア燃料船、水素燃料電池搭載船
(2)トランジション適格プロジェクト(トランジションファイナンスのみ充当可能)
LNG燃料船、LNG燃料供給船、LPG燃料船、運航高効率化&最適化
日本郵船 第1回グリーンボンド
概要
名称 | 日本郵船株式会社第40回無担保社債(日本郵船グリーンボンド) |
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発行日 | 2018年5月24日 |
条件決定日 | 2018年5月18日 |
発行年限 | 5年 |
発行額 | 100億円 |
クーポン | 年0.290% |
資金使途 |
当社が策定した環境対応船の技術ロードマップで予定する投資
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社債要項 | |
発行登録追補目論見書 | |
社債格付 | A (株式会社 日本格付研究所) |
適格性に関する第三者評価
セカンドオピニオン
当社は本社債についてグリーンボンド発行のために「グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2017」※1に即したグリーンボンドフレームワークを策定し、Vigeo SASが展開するVigeo Eirisよりセカンドオピニオンを取得しております。
Vigeo Eirisによるグリーンボンド評価では、SDGsの目標およびターゲットへの貢献についても評価されています。
環境省モデル発行事例
当社は本社債に関し、環境省の「平成30年度グリーンボンド発行モデル創出事業に係るモデル発行事例」に応募し、モデル発行事例として選定され、環境省とその請負事業者により「グリーンボンドガイドライン2017年版」※2との適合性についての確認を受けております。
- ※1グリーンボンド原則(Green Bond Principles)2017
グリーンボンド原則(Green Bond Principles)とは、国際資本市場協会(ICMA)が事務局機能を担う民間団体であるグリーンボンド原則執行委員会(Green Bond Principles Executive Committee)により策定されているグリーンボンドの発行に係るガイドラインです。 - ※2グリーンボンドガイドライン2017年版
グリーンボンドの国内普及を目的とし、平成29年3月に環境省が策定・公表したガイドライン。世界的に広く参照される基準である国際資本市場協会のグリーンボンド原則との整合性に配慮しつつ、実務を担当する市場関係者の参考に資するよう、具体的な対応例や日本の特性に即した解釈を示しています。
投資表明投資家一覧
日本郵船グリーンボンドへの投資表明をして頂いた投資家をご紹介します。
(2018年5月18日時点、順不同)
- トーア再保険株式会社
- 三井住友信託銀行株式会社
- 三菱UFJ信託銀行株式会社
- 北海道労働金庫
- 巣鴨信用金庫
- 真岡信用組合
- 岩手県信用農業協同組合連合会
- しののめ信用金庫
- 平塚信用金庫
- 神奈川県信用農業協同組合連合会
- 東信用組合
- 学校法人関西大学
- 名古屋テレビ放送株式会社
- 一般社団法人 日本貨物検数協会
- 福智町役場
- 松岡地所株式会社
グリーンボンドフレームワーク
1.資金使途
当社は中期経営計画(2018年策定)[PDF:3.48MB]に於いて中長期環境目標(CO2削減目標)を定めています。
また、環境対応技術の長期的目標として環境対応船の技術ロードマップ(先のコメントと同様)を掲げています。本社債の資金使途を構成する各プロジェクトは、中長期環境目標の達成に資するとともに、環境対応船の技術ロードマップの重要な要素となっています。
(1)LNG燃料船
従来の重油ではなく、LNGを燃料に用いる船舶。重油焚きに比べ、CO2(二酸化炭素)を約30%、SOx(硫黄酸化物)・PM(排気微粒子)を約100%、NOx(窒素酸化物)を最大で約80%削減可能。
(2)LNG燃料供給船
LNG燃料船にLNG燃料を供給する船舶。
(3)バラスト水処理装置
バラスト水(船舶がバランスを保持するための海水。通常荷揚げ港で船底のタンクに注水、荷積港で排出される)に含まれる海洋生物を処理する装置。海洋環境に影響を及ぼす水生生物の越境移動を防ぎ、生物多様性の保全に寄与する。
(4)SOxスクラバー
船舶のエンジンから排出されるSOxを含む排気ガスに海水を噴霧し、硫黄分を除去する装置。
2.プロジェクトの評価及び選定プロセス
定められた基準に従い、対象となるグリーンプロジェクトを選定しています。
3.調達資金の管理
調達資金は適格グリーンプロジェクトに充当し、充当状況を管理します。
未充当資金については、現預金及び現金同等物として管理します。
4.レポーティング
資金充当完了まで、資金充当状況並びに環境改善効果につき年次で当社ホームページ及びNYKレポート(統合報告書)にて公表します。また、第三者機関による発行後レビューを資金充当完了まで受けその結果を公表します。
資金充当レポート
2020年10月に全額充当完了しました。
- LNG関連(LNG燃料船、LNG燃料供給船)の一部に86億円充当
- 規制対応関連(スクラバー、バラスト水処理装置)の一部に14億円充当
- 上記に占めるリファイナンスの割合:24%
インパクトレポート
2018年度 | 2019年度 | |
(1)LNG燃料船 | 1隻 | 2隻 |
GHG排出量 | 35,730 mt / 隻 / 年 | |
GHG削減率 | 21% | |
CO2削減率 | 30% | |
NOx削減率 | 30% | |
SOx削減率 | 99% | |
(2)LNG燃料供給船 | 1隻 | 1隻 |
GHG排出量 | 3,647 mt / 隻 / 年 | |
GHG削減率 | 15% | |
CO2削減率 | 30% | |
NOx削減率 | 76% | |
SOx削減率 | 99% | |
(3)バラスト水処理装置 | 1隻 | 2隻 |
処理量 | 348,000 mt / 隻 / 年 | |
(4)SOxスクラバー | - | 9隻 |
SOx削減率 | 86% / 隻 |
- ※インパクトレポートの対象期間は、当年4月1日から翌3月31日の1年間
- ※船舶数は、本社債発行から当該報告年度までの期間に資金を充当した累積の隻数(但し竣工前の船舶は含まない)
- ※環境改善効果は、第三者機関Vigeo Eirisと合意した年次影響推計モデルを用いた理論値
- ※GHG排出量、削減率は、メタンガスの排出を加味した数値
- ※LNG燃料船は、Vigeo Eirisが定める「論争の対象となっている活動」に関する製品を輸送していない
その他
当社はClimate Bonds Initiative※3が今後設置するワーキンググループに参加し、外航海運業者が発行するグリーンボンドの評価基準策定に協力しています。
- ※3Climate Bonds Initiative
債券市場を通じて、気候変動問題の解決を目的とする国際NGO機関。グリーンボンドに関する情報発信とClimate Bonds Standardなどのグリーンボンド評価基準の策定や、政府、金融機関および事業会社に対する政策提言などを行う。