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トップコミットメント

ESG経営の「実装」フェーズを力強く推進します

自ら考え、自走する組織へ

2021年2月に「NYKグループESGストーリー2021」を発表して以降、当社グループは毎年、その進捗を「ESGストーリー」という形で示してきました。2023年11月には、最新の成果をお伝えする「NYKグループESGストーリー2023」を、脱炭素社会の実現に向けたより具体的な取り組みをまとめた「NYK Group Decarbonization Story」とともに発表しました。「NYKグループESGストーリー2023」では、同年3月に発表した中期経営計画(以下、中計)でお伝えしきれなかった非財務情報も合わせてお示ししています。

2023年度には、人的資本のさらなる高度化に取り組む指針として、「日本郵船グループCX Story」を取りまとめました。世界中のグループ社員にもっとワクワクしながら働いてほしいという私の強い思いに、Chief Human Resources Officerを筆頭とする人事グループのメンバーが真剣に向き合い、具体的にまとめてくれました。当社グループでは35,000人を超えるグループ従業員のうち、およそ8割を日本以外の外国籍人材が占めています。日本企業が日本を基点としてグローバルに展開するという発想ではなく、「Global Company Head-Quartered in Japan」というコンセプトのもと、真のグローバルカンパニーに必要な人材像の設定と、それを実現する上で必要な制度やキャリアパスを整えていく方針です。

ESGストーリーをはじめとする各ストーリーは、「安全」「環境」「人材」という3つのマテリアリティをベースに、徹底的に議論を積み重ね、具体的な施策や計画に落とし込んだ内容となっています。世界中の拠点で説明会を開催する中で、参加者からはこれまで以上に熱意のこもった意見や質問が寄せられており、本社主導の一方通行的な施策ではなく、現場自ら考え、形にするという、当社グループが目指しているESG経営が本格的に自走し始めたと感じています。

脱炭素目標達成への揺るぎない決意

当社グループは、船舶の運航を中心とする物流事業を展開している企業グループです。船舶による海上輸送においては主に重油を燃料としているため、多くの温室効果ガス(以下、GHG)を排出します。つまり、当社グループがGHG排出量を削減していくためには、船舶からの排出をいかに減らしていくかが重要なテーマの一つとなります。また、物流事業はさまざまな産業やサプライチェーンと密接に関わっており、当社グループ単独での取り組みでは排出量削減が容易ではない業界でもあります。

そこで、新たに発表した「NYKグループESGストーリー2023」と「NYK Group Decarbonization Story」では、中計で設定した目標からさらに踏み込んだ脱炭素目標を掲げました。まず、2050年の排出量ネット・ゼロを絶対に達成するという意識を強くするために、基準年比較の効率目標から総量目標へ切り替えました。そして、従来のパリ協定2.0℃シナリオではなく、より厳しい1.5℃シナリオに準拠させた上で「2030年度にScope1,2におけるGHG排出量を2021年度比で45%の排出量削減」という極めて野心的な中期目標を設定しました。その目標の達成のために、現在利用可能な技術や、近い将来に利用可能となる技術を持ち寄ることで削減目標の達成を目指すのではなく、45%削減を達成するためにはあらゆることに取り組んでいく、という考えに転換し、技術革新や取り組みの加速、ステークホルダーとの共創を促進していきます。グローバルにサプライチェーンを支えている物流事業の脱炭素化なしには社会全体のカーボンニュートラルは達成できないという課題意識の下、GHG排出量削減に真摯に向き合い、真剣に取り組むことが当社グループの持続可能な成長につながるものと考え、全社一丸となった取り組みを推進していく決意です。

当社グループの取り組みと目標に向けた進捗について、今後も丁寧かつ積極的に発信し、より質の高い対話を実現していくことで、当社グループだけでなく、海事産業、そして社会全体で脱炭素への取り組みを加速させていきます。ステークホルダーの皆さまにおかれましては引き続き当社グループへのご支援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

2024年4月
代表取締役社長
曽我 貴也