健康経営・労働安全衛生

健康増進・疾病予防による企業価値向上

「社員の安全と健康は当社事業活動の基盤であり、経営における最優先事項の1つ」の方針のもと、健康経営を進めています。
更に健康経営を推進し、ESGストーリーに掲げる“ありたい姿”を実現させるため、全グループ社員が心身ともに健やかでいられる会社経営を目指す「健康経営宣言」を2024年10月に発表しました。

健康経営宣言

日本郵船グループは、持続可能な社会の実現に貢献する存在であり続けるために、すべてのグループ社員がいきいきと活躍できる環境作りを推進します。

  • 一人ひとりが持てる力を十分に発揮できるよう、社員の心身の健康保持・増進の取り組みを促進します。
  • 社員が船上や国内外、場所を問わず安心して働くことができるよう労働関係法令を遵守し、職場環境を整備します。
  • 多様な社員が互いを尊重し、いきいきと働くことができる職場づくりを更に推進します。

日本郵船株式会社
Chief Human Resources Officer
鈴木 康修

社員の安全と健康は日本郵船グループの事業活動の基盤であり、経営における最優先事項の一つです。安全かつ衛生的な職場環境を保持すること、そして社員の心と身体の健康を保持し増進することを「日本郵船株式会社 行動規準」に定め、複数の言語にて全世界に展開し、その徹底を図っています。
また、安全かつ衛生的な職場環境の保持については「取引先に対するCSRガイドライン」(2024年8月時点)にも定め、取引先の皆さまへのご理解とご協力をお願いしています。

【陸上職社員】

健康経営

社員が生き生きと働き、それぞれの力を最大限に発揮できるよう、2015年4月より健康経営の強化に取り組んでいます。社長を最高責任者とし、管掌役員、担当役員、人事グループ長、NYKグループ健康管理センター(社内診療所)と日本郵船健康保険組合が一体となって健康経営を推進しています。

社内診療所

本店に診療所があり、産業医、専門医(循環器、消化器、呼吸器、内分泌代謝)、保健師が常勤し、社員がいつでも健康について相談・受診できる体制を整えています。感染症予防のため予防接種も実施しています。

健診受診率

健康診断受診率100%を目指すとともに、健診項目の各数値に関しては、当社独自の基準を設定し、産業医が確認しています。有所見者に対しては保健師からの再検査や治療状況の確認、状況に応じて医師のフォローを実施しています。また、必要に応じて外部医療機関を紹介します。

健診受診率
  • 2020年度及び2021年度は新型コロナウィルス感染症の影響により海外出向者および、乗組員が受診の機会を得られず受診率が減少しました。

専門健診

外部医療機関にて人間ドック、がん健診、婦人科健診を実施しています。

海外赴任者・帰国者の健診

赴任前・帰国後は産業医が当該社員と面談して健康状態を確認します。
特に赴任前は、健診結果に応じて、赴任地での食生活についての説明も行っています。

歯科検診

年に一度歯科検診を実施しています。

禁煙外来

社内診療所にて禁煙外来を実施し、社員の禁煙をサポートしています。

喫煙率(%)

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
15.1 12.7 12.4 11.2 11.8

衛生委員会

産業医、衛生管理者、社内関係者(人事グループ)、社員代表として日本郵船労働組合の書記長・副書記長が出席し、月に一度社員の労務状況(時間外労働や休暇取得状況等)や健康管理(健診受診率等)などの情報を共有し、意見を交換しています。健康と安全が重要課題であるとの共通認識のもと、労働組合と人事グループが協力し、時間外労働の削減、休暇取得の推進などさまざまな取り組みをしています。

食生活改善サポート

予防医療の観点から、社員の食生活改善サポートも実施しています。産業医によるセミナーを開催し、日常生活の中で取り入れやすい食生活に関する情報を発信しています。社員食堂では、糖質・塩分控えめなど健康に配慮した管理栄養士考案のメニューを提供しています。メニューにはカロリーや塩分、アレルギーを表示し、食に関するパンフレットも設置して社員の食に関する意識・知識の向上を促進しています。また、月に2~4回は「TABLE FOR TWO」を実施しています。

  • 肥満や生活習慣病予防のためにカロリーを抑えた定食や食品を購入すると、1食につき20円の寄付金が、「TABLE FOR TWO」を通じて開発途上国の子どもの学校給食になる。20円は開発途上国の給食1食分の金額になり、先進国で1食とるごとに開発途上国に1食が贈られるという仕組み

飲酒習慣の改善サポート

適切な飲酒習慣を有する割合

運動や食生活などに比べ、適切な飲酒習慣を有する社員の割合が低いため、飲酒習慣を改善する取り組みに力を入れていきます。

健康増進イベント

社員の健康意識向上、さらなる健康増進のため、専門医による講義などさまざまなイベントを開催しています。

  • 「チャリティRUN+WALK+α」(通称「Chari Run!」)

    身近なスポーツであるランニングやウォーキングを通してグループ社員の健康増進を目指すとともに、社会課題へ取り組む意識の浸透として2017年に始まった当社独自イベントで、国内外グループ会社にも展開し毎年開催しています。社会貢献を兼ねて、参加者が走って歩いて動いて集まった募金は当社マッチングと合わせ、国際NPOへ寄付しています。

  • 産業医による健康セミナー

    産業医や外部講師による健康に関するセミナーを実施しています。例年4月には新入社員に対し、社会人としての健康管理について指導しています。また、女性が活躍を続けるには、本人だけでなく周囲の理解も重要との考えから、2023年度は女性のライフステージに応じた健康課題をテーマにした新たな試みを実施しました。セミナーはグループ会社や取引先にも広く参加を募っています。

メンタルヘルス

体だけでなく心も健康でないと、生き生きと働くことはできません。当社では、メンタルヘルスに対してもさまざまな取り組みを行っています。

  • 社内診療所

    精神科医3名が勤務しています。

  • 外部相談窓口

    24時間365日、電話・Webで相談することができます。

ストレスチェック

従業員50名以上の事業場での実施が義務付けられていますが、当社では人数にかかわらず、国内外、船上全ての事業場で実施しています。

  • プレゼンティーズム(%)

    ストレスチェックと同時にプレゼンティーズム(何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態)を測定・確認しています。

    2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
    18.2 18.6 17.2 18.0
  1. 2020年度より測定開始
  2. 測定方法:SPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)※1の設問である「病気やけががないときに発揮できる仕事の出来を100%として過去4週間の自身の仕事を評価してください。」を11件法※2にて回答した割合を、100%値から差し引いた割合により評価。
  3. ※1平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業「東京大学ワーキング」で開発された、1項目の設問によりプレゼンティーイズムを簡便に測定できる尺度
  4. ※2主観的な幸福度を調べるためのキャントリルラダー(Cantril ladder)と呼ばれる調査方法。「0」~「10」までの11段階のはしごをイメージし、自分自身の生活への満足度が、いまどこにあるのかを判断していく

リフレッシュスペース

疲労回復や心身のバランス保持・リフレッシュを目的に、マッサージ室の設置や屋上グリーン化によるベンチや花壇の整備も推進しています。また、コミュニケーションの場となる喫茶室があります。

マッサージ室
屋上

健康経営優良法人

当社は積極的に健康経営に取り組んでいる企業として認められ、2017年度より8年連続で「健康経営優良法人」に認定されています。

社員の安全管理(災害時の対応)

当社グループでは、地震などの災害発生時の事業継続・早期再開のために、社員の安否確認システムを導入しています。あらかじめ登録された国内の居住地や勤務地で震度6弱以上の地震が発生した場合、安否確認メールが自動発信されます。メールを受信した社員は本人や家族の安否などを報告し、管理者はシステム上で所属員の安否状況を確認します。今後も非常時に備え、定期的な安否確認訓練を実施していきます。

【海上職社員】

船上での健康経営

船員は、一度航海に出ると3カ月から10カ月にわたり乗船勤務が継続することから、船内での孤立性(長期間陸上から孤立)、危険性(海難事故等)、職住一致(職場と生活の一致、船内での共同生活)などの特殊な労働環境下に置かれています。

当社では、船員に対する健康経営への取り組みが、生産性や意欲向上とともに、安全運航につながるとの考えから、以下の取り組みを実施しています。
船員全員が海上で元気に活躍できるよう、会社としてもその大前提となる健康増進を積極的にサポートしています。

主な目標・取り組み

  1. 1船陸間通信速度の向上の為、Starlinkの導入を進めている。船員が陸上の家族や友人とのコミュニケーションを円滑にとれることは、福利厚生が拡充され労働意欲の維持・向上にもつながる。
  2. 2危険体感訓練の深度化:フィリピン商船大学NTMAに隣接する研修施設のほか、2018年にはインド商船大学TOLANIにも設置。クロアチアなどの欧州人に対しても積極的に実施。2015年の開始以降、延べ約7,552人が受講(2023年8月末現在)。
    今後は、VR等新技術を取り入れ、受講の機会拡大を目指すことを検討
  3. 3船内生活環境の整備:2021年より船陸間通信環境の拡充に着手
  • Space Exploration Technologies Corp. (スペースX社)が運営する衛星通信サービス。低軌道衛星を利用しているため、従来のより高速な大容量通信が可能となる

船員の負傷・疾病件数

船員の健康維持は、船舶の安全運航に欠かせないことから、乗船前の健康診断に加え、船内での定期的な健康チェックを行っています。船長を中心とした船内安全衛生委員会の実施、NAV9000及びニアミス3000などの諸活動を通じた船内の安全・衛生環境の確認を行い、安全意識の向上とケガや人身事故などの防止を図ります。負傷・疾病データやニアミスデータを収集・解析するとともに、発生状況の把握および安全・衛生活動の有効性を検証し、さらなる改善につなげていきます。

船員の負傷・疾病報告件数

海上労働証書(MLC証書)

船内労働環境におけるILO海上労働条約 (Maritime Labour Convention)の遵守に関し、海上労働証書(MLC証書)を当社グループの全運航船にて取得しています。当社独自の安全基準である「NAV9000」は、このMLCを含む国際条約の柱であるSOLAS, STCW, MARPOLへの遵守を、要求および確認事項に含んでおり、船内での労働安全衛生の向上を図っています。

関連リンク:

労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)

安全輸送の高度化と品質維持向上を図るため、国内外のグループ会社において「ISO45001」の認証を取得しています。
2024年4月現在、NYKグループスタンダード会社208社のうち6%にあたる13社が取得しています。

NYK LNGシップマネージメント(株)
NYKバルク・プロジェクト(株)
北洋海運(株)
NYK Auto Logistics (Kazakhstan) LLP
MC Siam Logistics Co., LTD.
Yusen Logistics (UK) Ltd.
Yusen Logistics (Thailand) Co.,Ltd.
Yusen Logistics (Polska) Sp. z o.o.
Yusen Logistics (Czech) s.r.o.
Yusen Logistics (Australia) Pty.Ltd.
Yusen Inci Lojistik ve Ticaret A.S.
Uryi Logistics Solutions Co., Ltd.
PT. Puninar Yusen Logistics Indonesia

船員と家族とのコミュニケーション

船員や船員の留守家庭とのコミュニケーションをより活性化するため、各地で船員集会を開催しています。
船員に関わる情報共有や家族の教育問題、各種相談への対応など、家族会との交流を図っています。
コロナ禍にあってもオンラインでの船員集会を開催し、コミュニケーションを維持しています。

船員集会での家族との交流の様子

【陸上職/海上職社員】

労働災害の発生状況

当社では、単体社員※1を対象として、労働災害の発生状況を把握し、LTIFR※2の低減に取り組んでいます。

LTIFR(%)

  1. ※1有期雇用およびグループ会社からの出向者を含む
  2. ※2LTIFR(Lost Time Injuries Frequency Rate)
     (休業を伴う労災件数)/(延べ労働時間数)×1,000,000