MARINERS CAREER

海上での仕事

海上職とは

海上職の役割と使命

海上職とは、大型船舶に乗り、自らの手で運航するプロフェッショナルです。 大型エンジンをはじめ船内の機械の専門家である「機関士」、安全な船の操縦と積荷の管理を行う「航海士」があります。船上で培った経験を、陸上で活かし海運の発展に貢献することも大きな役割の一つであり、国内外を問わず世界中の海・陸で活躍しています。

あらゆる輸送ニーズに応え、世界と日本をつなぐ

四方を海に囲まれ資源の乏しい日本は暮らしや産業に不可欠な生活物資やエネルギー資源などを世界中から運んでいます。一度に大量の貨物を輸送できる海運は、日本の国際貿易の99.6%の割合を担い、世界経済においても無くてはならない存在です。

船を動かす乗務員とは

乗組員とは

船の種類によって多少人数に違いがありますが、20数名で運航しています。船内では、日本人以外の外国人のクルーと共に仕事をしています。

機関士とは

機関士なくして船は動かない。
自ら手で船と物流を動かす誇りがある。

メインエンジン、発電機、ボイラーなどの運転、管理そして点検、故障の修理などを行います。発電所のような巨大なプラントを管理する 技術者であり、船の心臓部の管理を担います。機関士がいなければ船は動きません。海技士(機関)の国家資格が必要です。

海上での仕事

・機関運転 ・燃料油・潤滑油管理・機器整備・薬品管理・乗組員の指揮監督 など

整備作業

機関士ごとに担当の機器が決まっており、運転時間を管理しつつ整備スケジュールを自ら作成していきます。大型機器の整備の際にはチーム一丸となって取り組みます。

点検管理

トラブルを未然に防ぐため、正常な機器の運転状態を把握することが重要です。そのため、五感を働かせて、音や温度、圧力などからわかる小さな変化も見逃さないように日々見回りを行います。また、潤滑油、冷却水の成分分析を行い、その結果をもとに薬品の投入量を調整します。

陸上での仕事

・営業支援・燃節運転※ ・船舶監督・保船管理・環境規制法令対応 など

燃節運転

船を運航する際のコストの大部分が燃料費となっています。スピードを落とせば消費燃料は減りますが、燃焼状態が悪くなり、エンジンに悪影響を及ぼします。すべてを総合的に判断して、船へアドバイスを行います。

※燃節:燃料油の節減

船舶監督

担当船舶の予算管理をしつつ直接船とやり取りし、造船所での整備計画の作成から予備品、潤滑油、食料などの手配まで陸上から船をサポートします。通常2~3隻の船を担当しています。船上での仕事内容が分かっているからこそできる仕事です。

航海士とは

24時間船の安全運航に携わり
貨物ごとの技術を磨くプロフェッショナル。

運航スケジュールに沿って貨物を輸送するため、気象や海象をもとに航海計画の立案や航海当直、保守整備、乗組員の指揮監督、荷役当直などを行います。航海の全体を見据え、貨物や乗組員の安全を担う、責任ある仕事です。海技士(航海)の国家資格が必要となります。

海上での仕事

・航海当直(航海中の見張り、操船、針路の決定など)・航海計画・荷役当直(貨物に管理、監督作業など)
・乗組員の指揮監督 ・保守整備(船体メンテナンス、消火・救命設備を維持するための作業) など

航海当直

航海士と聞いて最初に思い浮かび、なおかつメインとなる仕事です。気象や海象をもとに、航路を決定し、他船と衝突しないよう24時間体制で見張りを行います。また運航スケジュールを遵守することも重要な仕事です。

荷役当直

日本郵船の大型船舶では自動車やコンテナ、原油、液化天然ガスなど様々な貨物を輸送しています。その貨物の輸送、管理、積み降ろし作業も航海士の重要な仕事です。貨物によっては航海士が積み降ろしプランを作成し、オペレーションを行っています。

陸上での仕事

・積付プランニング・船舶管理・環境規制法令対応・営業支援 など

船舶管理

日本郵船が保有するすべての船を安全に運航するためのルール作りやトラブルが起こった際の今後の対応策の検討などを行います。また、管理を委託している船舶管理会社の管理なども行います。

積付プランニング

自動車やコンテナなどは港ごとに荷物の積み降ろしを行い、複雑なオペレーションを行なっています。現場の経験を活かして最大限なおかつ安全な最適積付プランを作成します。

PICK UP!

船の大きさ

世界一大きな乗り物を動かすプロ

大型船舶の高さは15階建のビルの高さに相当し、その長さは東京タワーの高さに匹敵します。日本郵船の海上職には、世界でも有数の規模を誇る乗り物を動かす醍醐味があります。

個性豊かな船たち

船はさまざまな貨物を運んでいます。原油、LNG(液化天然ガス)、鉄鉱石、穀物、自動車、雑貨など、液体があれば個体もあり、その形や大きさも千差万別。それぞれの貨物の特徴に合わせて、もっとも安全で効率的な輸送方法を追求した結果、多彩な専用船が生まれました。また、大量輸送を効率的に行うための大型化も進んでいます。

コンテナ船

貨物船の中では最速を誇る雑貨輸送の専用船です。衣類や電気製品などの生活雑貨から危険品まで多種多様な貨物を国際規格のコンテナに収納して運びます。コンテナ化された貨物はトラックや鉄道などへの積み替えが容易なため、荷役の迅速化とともに海陸一貫によるドア・ツー・ドアの輸送を実現しました。国際定期輸送に画期的な変化をもたらしました。

原油タンカー

原油を運ぶ専用船です。複数の区画に仕切られたタンク状の船倉を持ち、事故時の原油流出を最小限に抑えるため船側と船底を二重構造化しています。荷役用のパイプラインとポンプを持ち、積み荷役には陸側のポンプを、揚げ荷役には本船装備のポンプを使います。かつては50万重量トンを超す大型の船も出現しましたが、現在は30万重量トン級のVLCC(大型タンカー)が主力です。

LNG船

天然ガスをマイナス162℃の超低温で液化したLNG(液化天然ガス)を運びます。超低温輸送のための特殊な材質のタンク、荷役時の事故を防ぐ緊急遮断装置、輸送中に気化した天然ガスを燃料として使うタービンエンジンなど、先端技術を駆使したハイテク船です。タンクの形状には独立球形タンクを船体に固定した構造のモス方式や、メンブレンと呼ばれる金属の薄膜でタンクを覆ったメンブレン方式などがあります。

ばら積み船(バルカー)

鉄鉱石、石炭、穀物、塩、アルミ塊、銅鉱石などの資源を梱包せずに大量に輸送します。特定の貨物を経済的・効率的に輸送できるように設計・建造された、鉄鉱石船や石炭船、木材チップ船などの専用ばら積み船もあります。

自動車専用船

自動車を専門に運ぶ船です。貨物となる自動車を専門のドライバーが運転し、船のランプウェイ(船と岸壁とを橋渡しする設備)から船内に積み込みます。船内は何層ものデッキに分かれ、バスなど大型車両を積むためのデッキは車高に合わせて上下します。全体に屋内駐車場のような構造をしています。最大級のものでは13層ものデッキを持つ8000台積みの大型船もあります。

海上で働く

海上での1日

Engineer’s1 Day Schedule

機関士は、航海士と異なり通常航海中は当直制にはせず、「M0(エムゼロ)運転」というスタイルをとっています。日中に作業を行い、夜間は機関室を無人化しています。夜間、機器に問題があった場合はアラームが鳴るので、当直機関士がすぐさま対応します。

Officer’s1 Day Schedule

航海中、船は24時間走り続けています。そのため、一日を4時間ごとに分け、一等、二等、三等航海士の3人がそれぞれ交代で航海当直を担当します。航海当直以外の時間は、その他の業務や食事、睡眠、自由時間に充てられます。

海上での1ヵ月

NYKでの1年

メリハリのある生活サイクル

海上職の乗船サイクルは、乗船勤務と休暇の繰り返しになります。乗船勤務中は原則休みがありませんが、下船後は乗船期間に応じた休暇をまとめて取ることができ、メリハリのついた生活を送ることができます。

NYKでの10年

世界中が活躍と成長の舞台

まずは三等機関士/三等航海士としてスタートし、乗船経験を積むことで「機関長」または「船長」を目指します。また、海上だけでなく、国内外問わず陸上でも様々なフィールドで働くチャンスがあるのも魅力の1つ。ジョブローテーションで培った知識や経験を次の仕事に活かしていきます。

海技者になる

海上職として働くためのライセンス取得

海上職として働くためには、国士交通省による国家試験に合格し、三級海技士免状(機関または航海)を取得しなければなりません。 日本郵船の海上職(自社養成コース)の教育プログラムでは海技大学校で教育訓練を受け、最終的にこの国家試験を受けてライセンスを 取得して頂きます。その後は、海上での経験を積み、陸上でも幅広く活躍頂きます。

海上職自社養成プログラム(航海士、機関士)

日本郵船は他社に先駆けて自社養成コースを設置し、船員教育機関の学生と共に、世界で通用する海技者育成にも力を入れています。プログラムでは2年にわたる研修によって、海上で働くための知識とスキルを身に付け、3年目には機関士・航海士としての乗船勤務が始まります。

三等機関士(当時)2013年4月入社 理工学部卒

Q.機関士を目指したきっかけは?

就職活動時に初めて海上職という仕事を知りました。もともと乗り物が好きだったのですが、様々船種に乗船して世界中あらゆる場所へ航海できることに惹かれたのがきっかけです。また、陸上勤務で専門知識を活かす機会があると聞き、幅広く活躍できる所に魅力を感じました。

Q.現在、どんな仕事を担当していますか?

運航中の機関当直や担当機器の保守・整備が主な仕事です。船を安全にスケジュール通りに運航していくためには定期的な整備が欠かせません。巨大なメインエンジン以外にも様々な機器が動いており、音や温度、湿度など五感を働かせて小さな異常も見逃さないようにしています。

二等航海士(当時)2011年4月入社 総合政策学部卒

Q.航海士を目指したきっかけは?

大学3年生の時。「海上職」を知り、世界で活躍する仕事をしたいと思って志望しました。航海士は海上のプロフェッショナルとして社会的にも頼られる貴重な存在であり、いろいろな国を訪れながら仕事をすることが、公私共に自分の人生を豊かにしてくれると思ったからです。

Q.現在、どんな仕事を担当していますか?

二等航海士は航海計画の立案を担当し、港湾情報を調べ、新しいコースラインを海図に引き、船長に次の航海計画を提案します。航海当直中は動かすことができるため、自分がなくてはならない存在であることに生きがいを感じます。