2025年04月23日
輸出入時の食品ロス低減に向け当社のIT関連会社がSOMPOグループと実証実験
コンテナ輸送の最適化ツール「CargoNote」で荷役作業を標準化、効率と安全図る
当社の関連会社で海運・物流におけるITソリューション開発企業であるSymphony Creative Solutions Pte.Ltd.(以下「SCS」)は、3月24日から損害保険ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:石川耕治、以下「損保ジャパン」)とSOMPOリスクマネジメント株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:中嶋陽二、以下「SOMPOリスク」)と協働し、食品ロス削減に寄与する損害防止サービスの開発に向けた実証実験を開始しました。SCSは、現場作業の標準化とワークフロー順守を支援するITソリューション「CargoNote」を提供し、コンテナへの食品の荷詰めなど、精度が要求される作業時に活用することで、輸出入時の食品ロス低減に向けて取り組みます。
食品ロスの現状とコンテナ輸送での食品ロス
食品ロスは世界の大きな問題になっており、国連環境計画(UNEP)の「食品廃棄指標報告2024」によると、2022年には世界で10億5000万トン(全体の約19%)の食品が廃棄されたと見られています(注1)。さらに廃棄食品の焼却処理は二酸化炭素の排出量増加にもつながります。
また農林水産省の調査によると、2022年度の日本の食品ロス量は前年度比で51万トン減少したものの年間約472万トン(推計値)に達しています(注2)。分野別では食べ残しなどの家庭系と製造・流通・調理の過程で発生する事業系が各236万トンになっています。
流通過程のコンテナ輸送における食品ロスの原因は、コンテナ自体に不備があるハード的な要因や積み込み作業時の手違いによるソフト的な要因などさまざまです。実証実験で協働する損保ジャパンとSOMPOリスクは、コンテナの外観チェックや積み込みチェックなどの作業の標準化を徹底することで、食品ロスにつながる輸送中の、破損・品質を未然に防げると考えています。
SCSとCargoNoteの概要
SCSは2016年に日系4社によってシンガポールで設立され、海運・物流業界におけるITソリューションの提供を行ってきました。2023年11月に本格的にリリースした「CargoNote」は、物流現場でのコミュニケーションを円滑にし、業務の標準化・効率化を図るためのツールです。具体的には、以下の機能を提供します。
- コミュニケーション機能: 物流現場での情報共有をスムーズに行うためのチャット機能や通知機能を搭載。
- タスク管理: 各作業の進捗状況をリアルタイムで把握し、効率的な業務遂行をサポート。
- データ分析: 業務データを収集・分析し、業務改善のためのインサイトを提供。
「CargoNote」は荷役作業の標準化やコミュニケーションの円滑化に有効なツールとして評価され、大手物流企業をはじめとする物流現場での採用が進んでいます。
実証実験の概要
SCSは、損保ジャパンおよびSOMPOリスクと連携し、コンテナ輸送における食品ロス防止を目的とした実証実験を開始しました。本実証実験では、SOMPOリスクが過去の保険金支払いデータを基に、事故削減に向けたコンテナへの積み込みや取り出しに関する最適なワークフローを「CargoNote」に設定します。荷主であるメーカーは、ワークフローに基づいた積み降ろしを行うことで大規模な損害や廃棄につながる食品ロスを未然に防ぎ、物流業務の効率化と安全性の向上を図ります。これにより、損保ジャパンは事故削減状況を適宜共有し業務の改善を支援するとともに、荷主は「CargoNote」上での写真レポートを活用し、輸送中の食品ロスの原因を明らかにして、再発防止に向けた協議を進めやすくなります。
本実証実験の成果を基に、損保ジャパンとSOMPOリスクは、食品ロス削減に寄与する損害防止サービスの展開を2025年度中に予定しており、今後は食品以外の業種への拡大も計画しています。
CargoNote活用のイメージ
各社の役割
損保ジャパン・SCSコメント
損保ジャパン 海上航空保険業務部 貨物保険グループ 課長代理 大伊健太郎
「CargoNote」の強みである物流業務の標準化・可視化とSOMPOの強みである物流リスクの分析・軽減に向けた取り組みを発揮することで、食品ロス削減に寄与する損害防止サービスの展開を目指したい。
SCS 代表取締役社長 北裕次
食品ロスという問題を解決するために、コンテナ輸出入に関わる貨物ダメージ・輸送品質に精通した両社の幅広い知見とグローバルに対応可能な「CargoNote」の強みを持ち合わせることで、今回の取り組みを成功に導き、「CargoNote」が国際物流に関わる方々にとってさらに使いやすいサービスに成長する礎としていきたい。
SCS概要
Symphony Creative Solutions Pte. Ltd.
- 本社所在地: シンガポール
- 株主:オーシャンネットワークエクスプレス、日本郵船株式会社、株式会社構造計画研究所、株式会社ウェザーニューズ
- 代表者: 北 裕次
- ウェブサイト:https://cargonote.app/ja
- お問い合わせ先: yuji.kita@scs71.com
(注1)International Day of Zero Waste 2024 – UNEP
https://www.unep.org/events/un-day/international-day-zero-waste-2024
(注2)食品ロス量(令和4年度推計値)を公表 -農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/240621.html
以上
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