2025年02月25日
アンモニア燃料アンモニア燃料供給船の基本設計承認(AiP)を取得
日本郵船株式会社
Seatrium Limited
船舶燃料の脱炭素化で世界をリード
日本郵船株式会社(本店:東京都千代田区、社長:曽我貴也、以下「日本郵船」)とSeatrium Limited(シートリウム社、本社:シンガポール、以下「シートリウム社」)をはじめとするパートナー企業のコンソーシアム(以下「本コンソーシアム」)はこのたび、共同で設計したアンモニアを燃料として稼働するアンモニア燃料供給船(以下「本船」)の基本設計承認(AiP)を一般社団法人日本海事協会(以下「ClassNK」)から取得しました。
本コンソーシアムは、環境にやさしく持続可能な海運業界に貢献するという理念のもと、海運業界でニーズが高まっている燃料としてのアンモニアの実用化と実効的なアンモニアバリューチェーンの構築を目的としています。
脱炭素化をリード
今回のAiP取得は、本船が安全性、技術、環境の各分野においてClassNKの基準に適合していることを証明するものであり、船舶燃料としてのアンモニア実用化に向けた大きな一歩です。また、本コンソーシアムが船舶代替燃料開発において世界をリードしていることを示します。
日本郵船株式会社 執行役員 横山勉のコメント
「今回のAiP取得は、持続可能な船舶燃料としてクリーンなアンモニアの普及を加速させるための重要なマイルストーンです。日本郵船とパートナー企業の豊富なアンモニアに関する専門知識、そしてシートリウム社の優れた技術力により、安全性と効率性の新たな基準を設定し、よりクリーンな海運の未来を切り拓いていきます」
本船の技術的特徴とシートリウム社の役割
本船の設計には本コンソーシアムメンバーの強みが結集されており、その中でシートリウム社は海洋システムの開発における豊富な経験と技術力を活かして寄与しました。シートリウム社のグループ会社であるLMG Marin AS(以下「LMG社」)の持つ最先端の設計技術を用いて、リスク評価(HAZID: Hazard Identification Study)に必要な情報を提供し、最適なパフォーマンスや安全性、信頼性の実現によって本船がAiPの要件を満たすことに貢献しました。また、LMG社が今回開発した、機関室内におけるアンモニア燃料エンジンの安全な取り扱い方法が、2024年12月に海事安全委員会109で承認されたアンモニアを燃料とする船舶の安全性に関する国際海事機関(IMO)の暫定ガイドラインに適合することが確認されました。
本船には、安全性と運航の信頼性を確保するために、本コンソーシアムが持つ技術の特徴である株式会社IHI原動機のアンモニア燃料エンジン(以下「本アンモニア燃料エンジン」)とTBグローバルテクノロジーズ株式会社のバンカリングブーム(以下「本バンカリングブーム」=注)が組み込まれています。本アンモニア燃料エンジンは、温室効果ガスの排出を大幅に削減することができ、2024年8月に就航した世界初の商業用アンモニア燃料タグボート「魁」にも搭載されているものです。本バンカリングブームは、「緊急離脱装置(Emergency Release System)」を搭載しており、緊急時にアンモニア燃料船とアンモニア燃料供給船の接続を瞬時に切り離すことが可能です。
シートリウム社 Executive Vice President for Engineering and Technology and New Product Development 兼 LMG社 Chairman of LMG Marin, Aziz Merchantのコメント
「日本郵船とそのパートナーが主導する業界をリードする取り組みに貢献できることを光栄に思います。アンモニアを舶用燃料として利用することがプロジェクトの大きな特徴であり、この先進的な取り組みに協力することで、持続可能な海事産業を推進し、世界の脱炭素化目標を支援するというシートリウムのコミットメントを再確認することができます」
シンガポールでの海事イノーベーションへの貢献
本船はシンガポールでの就航を見据えて設計され、シンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority of Singapore)から導入検討のための評価を受ける予定です。就航すれば世界初のアンモニア燃料アンモニア燃料供給船となる見通しであり、シンガポールにおける脱炭素化への取り組みに大きく寄与します。また、海事産業全体の温室効果ガス(GHG)排出削減に向けた燃料アンモニアのインフラ整備に大きく貢献します。
AiP授与式の様子
左から、
シートリウム社 Executive Vice President for Engineering and Technology and New Product Development 兼 LMG社 Chairman of LMG Marin, Aziz Merchant
日本郵船 次世代燃料ビジネスグループ長 六呂田高広
日本海事協会 東南アジア・オセアニア管区事務所長 脊戸康吏氏
アンモニア燃料アンモニア燃料供給船のイメージ
各社概要
日本郵船株式会社
1885年に創業以来、日本の海運の歴史と共に歩んできた世界有数の総合物流企業グループ。約800隻の船舶を運航し、海運業や物流事業を中核としてさまざまな事業を展開しています。日本郵船グループは、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” を2023年3月10日に発表しました。“Bringing value to life.”を企業理念とし、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、ESGを中核とした成長戦略を推進します。
本店:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 曽我 貴也
ウェブサイト:
https://www.nyk.com/
シートリウム社
世界のオフショア、海洋、エネルギー産業に革新的なエンジニアリング・ソリューションを提供しています。シンガポールに本社を置き、リグや浮体構造物、オフショアプラットフォーム、特殊船舶の設計・建造、各種船舶の修理、アップグレード、改造において60年以上の実績を持ちます。
主な事業分野は、石油・ガス関連設備の新造・改造、洋上再生可能エネルギーや新エネルギー施設の修理・アップグレードであり、世界的なエネルギー転換と海洋の脱炭素化を推進するための持続可能なソリューションに重点を置いています。
洋上再生可能エネルギーや新エネルギー、クリーンなオフショアおよび海洋ソリューションを提供する世界的な第一人者として、大手エネルギー会社、船舶所有者および船舶運航者、海運会社、クルーズおよびフェリー運航者を含む顧客に、高い水準の安全性、品質、性能を提供しています。
シンガポール、ブラジル、中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、ノルウェー、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、英国、米国で造船所、エンジニアリング&テクノロジーセンターなどの施設を運営しています。
本社:シンガポール
代表者:Chris Ong, CEO
ウェブサイト:
https://www.seatrium.com/
(注)船舶間でアンモニアを供給するための装置
以上
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