• プレスリリース

船舶間のアンモニア燃料供給装置の基本設計承認(AiP)を取得

TBG社と共同開発、独自の瞬時離脱装置で緊急時の安全性向上

当社と、原油や液化天然ガス(LNG)などの液体の荷役機器製造で国内シェアトップのTBグローバルテクノロジーズ株式会社(以下「TBG社」)が、アンモニア燃料向けに共同開発していた液体を船舶間で供給するための装置「バンカリングブーム」(以下「装置」)について、7月31日に一般財団法人日本海事協会(以下「ClassNK」)から基本設計承認(Approval in Principle、以下「AiP」)を世界で初めて取得しました。(TBG社調べ、24年7月31日現在、AiP取得の主体者はTBG社)
液体の漏洩を最小限にとどめるTBG社の技術を採用し、毒性は高いものの燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出せず、船舶の脱炭素化への貢献が期待されるアンモニアを船舶に供給する際の安全性を大きく高めます。

ClassNK から取得したAiP証書

装置の最大の特徴は、アンモニア燃料船とアンモニア燃料供給船(Ammonia Bunkering Vessel、以下「ABV」)の接続を緊急時に瞬時に切り離せる、TBG社が開発した緊急離脱装置(Emergency Release System)です。緊急離脱の際、アンモニアの飛散量を大幅に抑えられる機構を搭載しているため、人体に有毒なアンモニア燃料を非常に高いレベルで安全に供給可能です。AiP取得に際して当社は、開発の基本条件となる、自社開発したABVの設計データを提供しました。また装置の安全性・運用性向上のため、当社が筆頭株主として出資するセントラルLNGマリンフューエル株式会社が運航している国内初のLNG燃料供給船「かぐや」から得られた知見や、当社がアンモニア輸送事業から得られたアンモニアの取り扱いに関する知見を提供しました。
アンモニア燃料船は、当社が所属するコンソーシアム(注1)が研究開発を行っている26年11月に竣工予定のアンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC: Ammonia-Fueled Medium Gas Carrier)を皮切りに、自然環境に配慮した次世代燃料船として、世界的に研究開発が進められています。装置は、20年代後半から世界的な普及が予想されているアンモニア燃料船への燃料供給船での搭載を前提に開発されています。

アンモニア燃料供給船のイメージ

アンモニア用バンカリングブームのイメージ

当社は23年11月に発表したNYK Decarbonization Story(注2)で、当社グループ全体で排出する温室効果ガス(GHG)を30年までに21年度比45%削減(Scope1+2)、50年までにネットゼロ達成という目標を掲げています。その中で船舶の燃料転換は非常に大きな課題であり、燃焼してもCO2を排出しないアンモニアを燃料とした船舶の開発やアンモニアバリューチェーンの構築などを推し進めています。

当社は今後も自然環境や乗組員の安全に配慮した設備や装置の研究開発を積極的に推し進め、国際海運が排出するGHG削減に貢献するとともに、環境技術で世界をリードしていきます。

(注1)コンソーシアム
当社、株式会社ジャパンエンジンコーポレーション、株式会社IHI原動機、日本シップヤード株式会社の4社で結成されたコンソーシアム。4社が国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業への21年10月の公募採択以降、協力機関である一般財団法人日本海事協会とともに5者でアンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発を進めてきました。

(注2)NYK Decarbonization Story
「NYK グループESG ストーリー 2023」の付属資料として、特に当社グループのGHG排出削減に向けた一連の取り組みやその方向性、目標設定、移行計画などに加え、持続可能な成長に向けたコンセプトについて補足説明するもの。
NYK Group Decarbonization Story | 日本郵船株式会社

日本郵船グループは、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を2023年3月10日に発表しました。“Bringing value to life.”を企業理念とし、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、ESGを中核とした成長戦略を推進します。

また当社は、次世代燃料へのエネルギーシフトなどのグリーンビジネスを通じた、低・脱炭素に向けた新しい価値創造の取り組みを対象としたESGブランド「NYK GREEN EARTH」を展開しており、今回の取り組みもその一環です。

NYK GREEN EARTHロゴ
※ロゴをクリックすると詳細ページへ移動します。

今回の取り組みが特に貢献するSDGsの目標

以上

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