~協力体制強化を通じて両国の低・脱炭素化へ貢献~
当社は、インドネシア国営石油・ガス関連企業であるPT Pertamina(Persero)(以下「プルタミナ社」)の海運子会社PT Pertamina International Shipping(以下「PIS社」)と、液化二酸化炭素(LCO₂)および液化天然ガス(LNG)輸送分野での協業と船舶管理会社の共同設立に関する覚書を6月20日にプルタミナ本社(インドネシア・ジャカルタ)で締結しました。調印式には、プルタミナ社のNicke Widyawati 総裁をはじめ、PIS社のYoki Firnandi社長、当社常務執行役員の渡辺浩庸らが出席しました。
インドネシア政府が注力し、低・脱炭素化社会の実現に向けて将来的な需要拡大が見込まれるLCO₂およびLNG輸送の分野で、PIS社との強固な協力体制を築くとともに、船舶管理会社の共同設立を通じて、海上輸送の安定化と同国の船員の養成や雇用の創出に貢献していきます。
覚書の要点
1. LCO₂輸送に関する合意
2022年に締結した戦略的パートナーシップ契約に基づき、プルタミナ社をはじめとする貯留事業者やCO₂排出事業者に対し、インドネシアが関連するLCO₂の越境輸送に関する事業性評価やその他実現性検証を通じた事業機会の創出に向けて協働していくことを合意しました。
2. LNG輸送に関する合意
LNG輸送船の共同保有に向け、本格的な協議を開始することを合意しました。当社が40年以上にわたって培ったLNG船の所有・運航管理の経験をもとに、今後LNGのさらなる生産および消費の拡大が見込まれるインドネシアにおけるLNG輸送需要に対し、PIS社と共同で対応することを目指します。
3. 船舶管理会社の設立に関する合意
PIS社と船舶管理会社の共同設立を目指すことを合意しました。この取り組みを通じて、PIS社とより強固な関係を構築するとともに、今後増加が見込まれる同国の船舶需要に対応する高度な船舶管理サービスの提供を目指します。
覚書締結の背景
インドネシアは東南アジアで最大規模の石油・天然ガスの産出国であると同時に、CO₂の貯留拠点の建設に積極的に投資しています。同国のエネルギー鉱物資源省によれば、貯留に適した塩水帯水層まで含めると世界で24年末までに稼働する拠点の貯留量を大きく上回る5720億トンを貯留できる可能性があるとされています。インドネシア政府は周辺地域からのCO₂埋め立て需要を呼び込み、アジア最大の貯蔵拠点となる構想を掲げており、今般の当社とPIS社の覚書はLCO₂輸送の観点からの貢献を図るものです。LCO₂船は、液化されたCO₂を貯留および利用する拠点まで輸送するという必要不可欠な役割を担うものとして、同国において生産・消費の拡大が見込まれるLNGと合わせて、将来的な輸送需要の拡大が期待されています。
また、当社は運航するLNG船にインドネシア人船長や機関長を登用するなど、長期的な船員育成の計画を立て、同国幹部船員の養成に注力してきました。船舶管理会社の共同設立を通じて、今後も船員の養成や雇用の創出に寄与するとともに、インドネシアの海事産業の発展に貢献していきます。
各社コメント
プルタミナ社 President Director, CEO Nicke Widyawati氏
2022年12月のPISとNYKの戦略的パートナーシップの成果として、この調印式に立ち会えたことを誇りに思います。これは私たちの旅の始まりであり、共同ビジネスの実現に向かってPISとNYKが議論を加速していくことを期待しています。
PIS社 CEO Yoki Firnandi氏
本日を迎えられたことを大変うれしく思います。NYKとの強固で長期的なパートナーシップを通じて、インドネシアに留まらず世界へ大きく飛躍し、当社の価値を最大限に引き出す取り組みを推進していきます。今回の覚書は、NYKの脱炭素分野における技術・見識・力強い協力体制のもと、インドネシア地域のLCO₂輸送分野で当社がリーダーシップを発揮していくことを象徴するものです。
当社 常務執行役員 渡辺浩庸
PIS社と戦略的パートナーシップ契約を締結して以降、ともに協業機会を模索しながら多くの対話を積み重ね、LCO₂輸送、LNG輸送分野での協業と船舶管理会社の共同設立に向けた基本合意に至ったことを大変うれしく思います。両者の協業は本日の合意をもって新たなフェーズに入りました。PIS社の株主として、またパートナーとして、今後も同社の躍進を力強く支援し、インドネシアの海事産業の発展および低・脱炭素化社会の実現に貢献します。
当社とPIS社は引き続き、低・脱炭素化に向けたLNG輸送事業やCO₂の回収・利用・貯留(CCUS: Carbon Capture, Utilization and Storage)事業(注)など幅広い事業においてPIS社と協業を行い、インドネシアの発展に貢献していきます。
(注)CCS (Carbon Capture and Storage)は、火力発電所や工場などから排出されるCO2を回収し、作物、化学薬品、建設資材などの生産工程で安定した地下の地層に貯留を行うことを指します。CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)はCCSに加え、CO₂を有用に再利用するプロセスを含んでいます。どちらの過程でも液化CO₂輸送船が重要な役割を果たします。
各社概要
<PT Pertamina(Persero)>
本社:インドネシア ジャカルタ
President Director & CEO:Nicke Widyawati
ウェブサイト:https://www.pertamina.com/
<PT Pertamina International Shipping>
本社:インドネシア ジャカルタ
President Director & CEO:Yoki Firnandi
ウェブサイト:https://pertamina-pis.com/
以上
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