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液化CO2の常温輸送技術が実船搭載へ

世界初 ノルウェー船級協会から承認取得

当社関連会社のKnutsen NYK Carbon Carriers AS (クヌッツェン・エヌワイケイ・カーボン・キャリアーズ、以下「KNCC社」)は、液化した二酸化炭素(CO2)を常温(注1)で輸送可能な独自技術「LCO2-EP※(エルシーオーツーイーピー)システム」について、ノルウェー船級協会(DNV)から詳細な設計内容に対する承認(General Approval for Ship Application、以下「GASA」)を取得しました。これにより「LCO2-EPシステム」の新造船や既存船への搭載が可能になります。
※EP : Elevated Pressureの略称。

「LCO2-EPシステム」は液化CO2を常温で船上のシリンダータンクに注入し、安定した状態で輸送する技術です。(注2) 液化CO2を氷点下まで冷やす必要がないため、貯留層への注入に至るまでCCUSバリューチェーン(注3)全体を通じてエネルギー量やコストを削減でき、取り扱いも容易です。(注4)

2022年4月、KNCC社の「PCO2® tank system」が、液化CO2を常温で海上輸送可能な技術として世界初の基本設計承認(AiP)を取得しました。その後「LCO2-EPシステム」に名称を変更して詳細設計を進め、技術者・コンサルタント・造船所・協力会社と議論を重ね、さらなる文書・計算書・図面の作成を経てGASAを取得しました。

KNCC社は様々なプロジェクトでのニーズに応えるため「LCO2-EPシステム」以外にも低温式、中温式の液化CO2輸送船の開発を進めています。当社グループはこうした取り組みを通じてCCUSバリューチェーンに参画し、将来のカーボンニュートラル社会実現に貢献します。

「LCO2-EPシステム」を搭載した液化CO2輸送船のイメージ

日本郵船グループは、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing - ”を2023年3月10日に発表しました。“Bringing value to life.”を企業理念とし、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、ESGを中核とした成長戦略を推進します。

今回の取り組みが特に貢献するSDGsの目標

(注1)「LCO2-EPシステム」では液化CO2を常温(0〜10°C)の範囲かつ高圧下(35〜45バール)で輸送します。

(注2)液化CO2を常温で船上のシリンダータンクに注入することで、ドライアイス化などの相変化リスクを効果的に制御し、安定的な海上輸送を可能にします。

(注3)CCUSバリューチェーン
CCUSとは「Carbon capture, utilization and storage」の略で、CO2の回収・利用・貯留を指しています。火力発電所や工場などから排出されるCO2を回収し、作物、化学薬品、建設資材などの生産工程で利用するか、安定した地下の地層に貯留を行います。その過程で液化CO2輸送船が重要な役割を果たします。

(注4)貯留層へのCO2注入時に必要な加圧が相対的に少なくて済むため、投入するエネルギー量を削減できます。

KNCC社の概要

本社所在地 :ノルウェー・ハウゲスン
事業内容 : 液化CO2輸送船および貯留技術の研究開発、液化CO2の海上輸送・貯留事業に関する新規事業開拓およびマーケティング
出資比率 : 日本郵船 50%、Knutsen Group 50%   
CEO : Anders Lepsøe
Website: https://www.kn-cc.com

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