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紀州みなべのアカウミガメ調査2022を実施

2年ぶりに当社グループ社員によるボランティア活動を再開

当社は、認定NPO法人アースウォッチ・ジャパン (注1)と協働で、「紀州みなべのアカウミガメ調査プログラム」を実施しました。


和歌山県日高郡みなべ町は、絶滅のおそれがあるアカウミガメの産卵地として、本州最大規模を誇ります。本プログラムは、広大な海を回遊するウミガメに当社イメージを重ね、生態解明と保全活動を目的に2016年に始まりました。今年は2年ぶりに当社グループ社員による現地でのボランティア活動を再開し、産卵のため上陸したアカウミガメの個体識別標識(タグ)の確認や装着の補佐、甲羅の長さ・幅の計測を行いました。

また、産卵期間後のアカウミガメ2頭(「はなちゃん4号」「うみちゃん4号」)にGPS機能付き「アルゴス送信機」を装着し、回遊経路を追跡しました。新規個体の「はなちゃん4号」は、産卵後、西南西へ直線的に室戸岬を目指し、その後は種子島の南10km沖で送信が途絶えるまで西日本の南東側の太平洋を時計回りに半周しました。一方、回帰個体である「うみちゃん4号」は、常に岸からある程度の距離を保ちながら移動するという特徴を見せました。

左図:「はなちゃん4号」衛星追跡経路図、右図:「うみちゃん4号」衛星追跡経路図



2頭の位置情報は、社内ポータルサイトで共有され、当社グループ社員が自然環境や生物の変化に対する興味関心を深める一助となっています。
当社グループは今後も海洋環境、生物多様性の保全活動など、環境保全に積極的に取り組みます。

<当プログラムの主任研究者・松沢慶将先生によるコメント>(抜粋)

現在、日本で産卵するアカウミガメの数は大きく落ち込んでいます。みなべ町千里浜では、1990年には350回確認された産卵が、2021年には31回にまで減少しました。2022年は若干盛り返したものの、49回にとどまっています。一方で、産卵個体の回帰率も芳しくありません。みなべでは、標識の脱落を考慮しても約7割の個体が、二度と戻ってきません。メスが特定の砂浜に固執することに照らすと、これは、産卵後の死亡率の高さを意味します。回帰率の向上を図るためには、産卵後のメスのアカウミガメがどこでどのような脅威にさらされているのか明らかにすることが最重要課題です。その意味においても、本プロジェクトによる衛星追跡の継続によるデータの蓄積は、今後、本種の保全において中心的な役割を担うことが期待されます。

(注1)認定NPO法人アースウォッチ・ジャパン 
アースウォッチは、1971年にアメリカ・ボストンで設立された生物の多様性と生息地などの野外調査を「資金」と「人手」の両面で支援する国際環境NGO。派遣された市民ボランティアは、一流の科学者の手ほどきを受けながら、実証的な調査活動をしている。アースウォッチ・ジャパンは、1993年にこの活動を日本に広めるために発足。
https://www.earthwatch.jp/

(注2)アカウミガメ
産卵地である海岸の開発や侵食、漁業による混獲などの影響により生息数が減少し、国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)で絶滅危惧II類に指定されている。

<当社の社会課題解決への挑戦>

以上

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