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海洋プラスチック問題の根本的解決に向け、千葉工業大学へ「顕微ラマン分光装置」を寄贈

当社は、2020年よりマイクロプラスチックの海洋調査を共同で行っている学校法人千葉工業大学(以下「千葉工業大学」)に超微細なマイクロプラスチック(注1)を分析することができる「顕微ラマン分光装置」を寄贈し、1月24日に寄贈式を行いました。
本寄贈によって海洋プラスチック問題の根本的解決に向けた世界最先端の研究が可能となります。

写真左から当社執行役員 筒井裕子、千葉工業大学 亀田豊 教授

1.背景

年間、800万トンも発生していると言われている海洋プラスチックは、微細化することで海洋を含む生態系への悪影響が懸念されています(注2)。国際社会ではプラスチックによる環境汚染を終わらせるため、法的拘束力のある国際条約を制定することが合意され、既に政府間交渉も始まっています。しかし、海洋のマイクロプラスチック汚染状況を知る為の実測データは世界でも希少なため、今後 、超微細なマイクロプラスチックも対象とした海洋調査が必要になります。

2.これまでの活動内容

当社と千葉工業大学は、2020年より5mm以下のマイクロプラスチックを主とした海洋プラスチックの分布状況を明らかにするため、世界に先駆けて全海域を対象として海洋調査に取り組んできました。当社運航船による外洋のマイクロプラスチックのサンプルは、これまでに150カ所を超える地点で採取され、千葉工業大学亀田研究室(以下、亀田研究室)で分析後、世界海洋プラごみマップとしてウェブサイトで公開されています。
同時に、亀田研究室では顕微ラマン分光装置を用いた超微細のマイクロプラスチックを自動で分析する手法を世界で初めて確立しています。

3.顕微ラマン分光装置寄贈の目的

顕微ラマン分光装置とは、試料にラマン分光と呼ばれるレーザー光を照射することで発生する散乱光を高感度で検出し、その光の波長から物質の化学構造を調べることができる装置です。超微細なマイクロプラスチックを分析する為には本装置の導入は不可欠であり、当社としては、今回の寄贈を通じて調査した実測データを世界で初めて公表することを目指しています。

顕微ラマン分光装置

顕微ラマン分光装置で見たマイクロプラスチックの写真

4.今後の展望

当社は、従来から取り組んでいる運航船でのサンプリングを継続し、調査海域も広げるとともに、超微細なマイクロプラスチックも対象とした海洋調査の手法確立にも取り組んでいきます。また、調査結果を海洋プラスチック問題の根本的解決に直結する実測データとして提供することで、国際社会に貢献していきます。

当社グループは、ESGの経営戦略への統合を更に加速させることを掲げた、「NYKグループ ESGストーリー 」を2021年2月3日に発表し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動を進めています。2022年3月24日には、2021年度のESG経営の具体的な取り組みと施策、超長期視点での持続可能な成長戦略を紹介する「NYKグループESGストーリー 2022 」を発表しました。
海洋環境保全の取り組みは、“海への恩返し”として当社グループが取り組むべき重点テーマの一つと位置付けています。当社グループは今後も“良き企業市民として積極的に社会の課題に取り組み、環境の保全をはじめとして、より良い地球社会の実現に貢献する”というグループの企業理念を体現していきます。

(注1)超微細なマイクロプラスチック
約20μm(20マイクロメートル=0.02mm)未満のマイクロプラスチック

(注2)
論文「Probabilistic environmental risk assessment of microplastics in marine habitats」参照
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166445X20304392

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