• プレスリリース

国内初、完全自律船フレームワークの船級認証を取得

無人運航船実現のためのコンセプト

日本郵船株式会社
株式会社MTI
株式会社日本海洋科学

日本郵船株式会社および日本郵船グループ会社の株式会社MTI、株式会社日本海洋科学(以下「日本郵船グループ」)は、無人運航船実現のためのコンセプトとなる、完全自律船フレームワーク(開発コード「APExS-auto」)(以下「APExS-auto」)を開発し、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)およびフランス船級協会(Bureau Veritas)からその安全性が評価され、2022年3月1日にコンセプト設計の認証を取得しました。完全自律船に関する船級認証の取得は国内初の事例となります。

1. 背景

内航船員の人手不足と高齢化(50歳以上が半数以上を占める)、ヒューマンエラーによる海難事故(事故の8割を占めるとも言われる)という社会的課題解決のため、公益財団法人 日本財団が進める無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」における「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」に、日本郵船グループもDFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship)コンソーシアムの一員として参画し、無人運航船の社会実装を目指して技術開発を進めました(注1)。
本取り組みにおいては、日本郵船グループが開発した有人自律船フレームワーク(開発コード「APExS」)(注2)を無人運航船向けに応用したAPExS-autoを開発し、それを実際のシステムに反映させたことによって2022年2月26日から3月1日にかけて行われた実証実験の成功に大きく貢献しました。

2. APExS-autoの概要

APExS-autoは、Action Planning and Execution System for full autonomous(完全自律運航のための計画実行システム)の略です。有人自律船フレームワーク(開発コード「APExS」)は、コンピューター(機械)を中心とした高度な情報処理技術やリスク分析により、乗組員の状況認識と意思決定(行動計画)をサポートし、承認された行動計画を実行するという一連の流れをコンセプト化したものですが、APExS-autoは、そのコンピューター(機械)部分の役割を、さらに能動的な人間のサポーターとして位置付け、機能をより高度化させたものになります。

3. APExS-autoの先進性

APExS-autoを開発するにあたり、海運業界では珍しいモデルベースデザインという開発手法を採用しました。モデルベースデザインは自動車業界ではすでに広く普及している開発手法です。複雑なアイデアをモデルで表現し、階層を分けて設計を行い、そのモデルに対してシミュレーションを繰り返しながら、開発と検証を同時並行的に進めるというものです。従来の、技術のアイデアや要素、仕様を最初に作り込んでいき最後に完成したものを検証するという手法に比べ、開発の手戻りを極力少なくし大幅な効率化・短時間化を実現しました。

船舶の各種機能開発においては、実環境で検証を重ねるのが難しいため、今後海運業界においてもモデルベースデザインの開発手法が取り入れられていくと考えられます。今回、他の取り組みに先駆けてモデルベースデザインを採用した開発を行い、新たな開発手法の道を切り開けたことには大きな意義があると考えています。

4. 今後の展開

日本郵船グループは国内外のパートナーとの連携をさらに深め、協業することで、引き続きAPExS-autoを駆使して高度な安全運航に資する自律船技術の開発に取り組みます。

(注1)
2022年3月2日発表:「無人運航船の実運用を模擬した実証実験を実施」
https://www.nyk.com/news/2022/20220303_02.html

(注2)
2020年5月14日発表:「国内初、自律船フレームワークの船級認証を取得」
https://www.nyk.com/news/2020/20200514_01.html

以上

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その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。