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ヤラ・インターナショナル社と液化アンモニアガス運搬専用船の実用化検討に関する覚書を締結

日本郵船株式会社
日本シップヤード株式会社
一般財団法人日本海事協会

5月31日、日本郵船株式会社(以下「日本郵船」)、日本シップヤード株式会社(以下「日本シップヤード」、一般財団法人日本海事協会(以下「日本海事協会」)の3社は、世界最大のアンモニアプレイヤーである、ヤラ・インターナショナル社(注1、以下「Yara」)とアンモニアを主燃料とする液化アンモニアガス運搬専用船(AFAGC:Ammonia Fueled Ammonia Gas Carrier)の実用化に向けた共同検討に関する覚書を締結しました。

1. 背景

アンモニアは燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として期待されており、さらにアンモニアの原料となる水素にCO2フリー水素(注2)を活用することでゼロ・エミッション化の実現が可能と言われています。特に、アンモニアを発電燃料として利用する事による、大幅なCO2排出削減が期待されており、石炭火力発電所でのアンモニア混焼発電に向けた開発が進められています。また海運分野でも国際海事機関(IMO)が、国際海運分野からのGHG 排出量を2050年までに半減させ、今世紀中の早期にゼロとする目標を掲げておりますが、これらの目標達成に貢献する代替燃料として、アンモニアは注目されています。

2. 共同検討の概要

本件は日本郵船、日本シップヤード、日本海事協会が2020年8月より実施している、世界初のAFAGCの実用化に向けた研究開発の一環となります。AFAGCは、主燃料をアンモニアとすることで船舶からのCO2排出低減に寄与するとともに、積荷であるアンモニアを舶用燃料として活用するため外航船舶のゼロ・エミッション化の早期実現が期待されています。また、今後需要拡大が見込まれるアンモニアの安定的・経済的なサプライチェーン構築にも寄与します。
今回のYaraとの覚書締結により、船の設計開発、オペレーション手法の検討、法規制対応の検討、経済性の評価など、より具体的な運航要件に基づく検討を進めます。

3. 各社の役割

Yara(傭船者) 運航要件の策定
傭船者としての経済性の評価
日本郵船(船主) 運航手法の策定
法規対応の検討
AFAGC導入による環境性評価
船主としての経済性の評価
日本シップヤード(造船会社) AFAGCの研究開発及び設計
CO2排出削減量の推算
日本海事協会(船級協会) 安全性に関する技術検証
ガイドラインの策定

4. 今後の展望

本共同研究を通じて、船舶用燃料としてのアンモニアの活用を推進するとともに、既存需要(化学製品や肥料原料等を含む)及び将来に拡大が見込まれる新規需要(国内火力発電所での燃料利用等を含む)に対する安定供給の実現を目指します。それにより海事産業だけでなく、エネルギー産業の脱炭素化に大きく貢献することが期待できます。また、安全性に関する共同研究にも積極的に関わることで国際基準の早期策定を目指します。



(注1)ヤラ・インターナショナル社
ノルウェー・オスロに本社を置く大手窒素肥料メーカーであり、アンモニアの取扱い海上貿易量は世界最大。年間約850 万トンのアンモニア生産量を誇り、計11隻のアンモニア専用船団を運航中。2021年2月にYara Clean Ammoniaユニットを設立し、製造から海上輸送までサプライチェーン全体でクリーンアンモニアによる低炭素化を目指す。https://www.yara.com/

(注2)CO2フリー水素
CO2を発生することなく生成した水素。CO2フリー水素を生成する方法として、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱等)を活用して水素を製造する方法や、化石燃料( 天然ガス・石炭等)を活用し、発生したCO2を回収・貯蔵して水素を製造する方法などがある。上記の方法により生成された水素を原料とするアンモニアはCO2フリーアンモニアとされ、燃料や水素のエネルギーキャリアとしての活用が期待されている。

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以上

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