絶滅の危機にあるアカウミガメの生態を調査

~産卵期間中の移動経路をGPSで見守り~

当社のウミガメ調査ロゴマーク

当社は認定NPO法人アースウォッチ・ジャパン(注1)と協働で実施する「紀州みなべのアカウミガメ調査」プログラムにおいて、GPS機能付き送信機を用いてアカウミガメ(注2)の行動を追跡する新たな取り組みを開始しました。

「紀州みなべのアカウミガメ調査」プログラムは、絶滅危惧種に分類されるアカウミガメの産卵地として本州最大規模を誇る和歌山県みなべ町で生涯産卵回数の算定など、アカウミガメの生態解明と保全への貢献を目的としています。

2016年から数えて4回目となる今年は、当社グループ社員と公募による参加者を合わせた総勢24名のボランティアが7月4日~6日、7月11日~13日の2チームに分かれて活動しました。夜間に浜辺をパトロールし、産卵のため上陸したアカウミガメの個体識別標識(タグ)の確認や装着の補佐、甲羅の長さ・幅の計測を行いました。

新たな取組みとして、調査したアカウミガメの中から2頭の甲羅にGPS機能付き「アルゴス送信機」を装着し、産卵期間中の沿岸域での行動に焦点を当て、追跡を開始しました。社内公募で名付けられた2頭のアカウミガメ「うみちゃん」、「はなちゃん」の位置情報は、本プロジェクトの主任研究者、松沢慶将先生(NPO法人日本ウミガメ協議会会長)の解説とともに社内ポータルサイトで共有し、当社グループ社員が海洋環境への興味関心を深める一助となっています。

【松沢慶将先生のコメント】

産卵期間中は2個体とも産卵地の地先からほとんど動かないことが確認されました。ところが、最後の産卵を終えると、「はなちゃん」は直ちに産卵地を離れ、アカウミガメの主な索餌域である東シナ海を目指す動きを示しているのに対して、「うみちゃん」は産卵地周辺の海域にとどまったままです。今後、「うみちゃん」がどのタイミングで移動を開始するのか見守りたいと思います。

「うみちゃん」の動き(追跡開始以降の経過とともに位置情報は緑→赤へ)

「はなちゃん」の動き(追跡開始以降の経過とともに位置情報は緑→赤へ)

 当社はよき企業市民として、環境保全を経営戦略の重要課題の一つと捉え、今後も事業に密接な関わりがある海洋環境、生物多様性の保全活動に取り組みます。

集合写真

アルゴス送信機を甲羅に装着する様子

(注1)認定NPO法人アースウォッチ・ジャパン https://www.earthwatch.jp/
アースウォッチは、1971年にアメリカ・ボストンで設立された、世界各地で生物の多様性と生息地などの野外調査を、「資金」と「人手」の両面で支援する国際環境NGO。派遣された市民ボランティアは、一流の科学者の手ほどきを受けながら、実証的な調査活動をしている。アースウォッチ・ジャパンは、1993年にこの活動を日本に広めるために発足。

(注2)アカウミガメ
産卵地である海岸の開発や侵食、漁業による混獲などの影響により生息数が減少し、国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)で絶滅危惧II類に指定されている。

※本プログラムは参加者が自然環境や生物の変化に対する理解を深め、持続可能な環境に向けた行動を促すことも目指しており、SDGs(持続可能な開発目標)の以下目標達成に寄与します。

以上

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