~国際安全コードに準拠し、環境対応船の普及を推進~
当社グループの船員向けの訓練プログラムが、国際ガス燃料船安全コード(IGFコード、注1)に準拠するとして一般財団法人日本海事協会の認証を受けました。国際的な海事機関からIGFコード認証を取得したのは、邦船社としては当社が初めてです。
1. 背景
大気汚染防止の観点からLNG(液化天然ガス)を燃料として利用する船舶が欧州を中心に年々増加しており、現在、世界中で建造発注済みの船舶も含めると200隻を超えると言われています。
急増するLNG燃料船の安全性を担保するため、国際海事機関(IMO)は「LNG燃料などの低引火点燃料を使用する船舶に適用される安全コード」(IGFコード)を定め、IGFコード適用船の船員に対し、自国籍または船籍国の海事機関の認証を受けた訓練の受講と、危険物等取扱責任者(低引火点燃料)資格の取得を義務付けました。
しかし、欧州に比べるとアジア地域では研修制度がまだ整っておらず、船員の多くを占めるフィリピン人やインド人の配乗ができないという状況にありました。
2. 認証取得の目的
当社グループは2018年に策定した中期経営計画 “Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”に基づき、環境負荷の低いLNG燃料船などへの積極的な転換を目指しており、それに対応できる人材を確保して配乗を容易にするため、IGFコードに対応した訓練を内製化しました。
3. 概要
登録組織 | NYK-FIL Maritime E-Training, Inc.(注2) |
登録番号 | 19-054、19-054-1 |
登録コース | Basic Training for Service on Ships Subjected to the IGF Code(Basicコース) Advance Training for Service on Ships Subjected to the IGF Code(Advanceコース) |
訓練内容 | STCW条約(船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)で定められる訓練要件(A-V/3、Table A-V/3-1、A-V/3-2、B-V/3)を満たす。 |
訓練期間 | Basicコース 2日間 Advanceコース 3日間 |
訓練の特徴 | ガス火災や、液化ガスの特徴、低温による影響、ガスの検知方法など、訓練内容は体験型の実演を多く用い、液化ガスのハンドリング経験のない船員にも理解しやすい内容となっている。 Advanceコースでは、STCW条約で上級資格者に求められる条件のうち、2回のバンカリング経験をシミュレーター訓練で代替えできる。 |
初回認証登録日 | 2019年3月11日 |
認定機関 | 一般財団法人日本海事協会 |
訓練風景
4. 認定証書授与式
3月25日に日本海事協会本部(東京都千代田区)で行われました。
左から日本海事協会の冨士原康一会長、当社常務経営委員の小山智之
5. 今後について
各国の認証を得て、船員の育成と確保を目指します。
そして、事業活動を通じ人々の暮らしを豊かにすることが使命であり存在意義であるというグループ企業理念“Bringing value to life.”のもと、次世代燃料の活用を通じて船舶による環境負荷の低減に貢献します。
(注1)国際ガス燃料船安全コード(IGFコード)
2017年1月から強制化された国際安全コード。SOLAS条約では、IGF コード適用船における船舶安全設備の基準、STCW条約では船員の能力と訓練要件が規定されている。
※IGFコード適用船とは、IGCコード適用船(LNG船とLPG船)以外の船舶においてLNGやメタノール等の低引火点液化ガスを燃料とする船舶のこと。
(注2) NYK-FIL Maritime E-Training, Inc.
当社が出資するフィリピン人船員配乗会社NYK-FIL Ship Management, Inc.の100%子会社。2000年にフィリピンで設立され、当社グループ運航船に配乗される船員に対する訓練を実施している。
以上
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