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    -第130回創業記念式典で社長があいさつ-
 
 

フロンティアスピリットを発揮し、新しい未来を切り開こう
-第130回創業記念式典で社長があいさつ-

2015年10月2日

当社の第130回創業記念式典が10月2日、東京都千代田区の本店15階ホールで開催され、社長の内藤忠顕は次のようにあいさつしました。
 
<はじめに>
  今年は、当社が1885年10月1日に営業を開始してからちょうど130年目の節目の年にあたります。 
この記念すべき節目の機会に当社130年の歴史を振り返ると、時代を三つに分けられると思います。第1期は、第二次世界大戦で壊滅的な打撃を受けるまでの戦前・戦中の時期。第2期は、ほぼ無の状態から日本の高度成長と共に奇跡的な復興を果たした時期。そして第3期は、海運業の構造変革を余儀なくされた時期で、プラザ合意(1985年)に端を発する円高や、冷戦の終結によってもたらされたトレードの多様化・グローバル化が進みました。
 
<過去30年間の振り返り>
  くしくも、第3期の幕開けである1985年は当社の100周年に当たる年でもありましたが、100周年から現在に至る30年間の移り変わりをデータで見てみたいと思います。
 
・売上高は37億ドルから200億ドルへと5.3倍に増加 
(注:当社グループの基本収入が米ドル建てであることからドル建てで比較)
・支配船隊の隻数は2倍以上に、総資産は約6倍に増加
・関係会社の数も36社から700社を超えるまでに拡大
(その約半数はいわゆる仕組船会社で、残りは事業領域の拡大による一般事業会社の設立によるもの)
・かつては日本人が社員の大半を占めていたが、現在の日本人比率は陸上職で24%、海上職も含めると15%にまで低下し、今やナショナルスタッフがグループの屋台骨を支えるほど多国籍化が進行
・およそ3%だった外国人株主比率が、現在は4割を占めるまで株主の国際化が進行
 
このように、当社グループの事業拡大とグローバル化は相関関係を持ちながら、並行して進んできたことが分かります。
 
<日本郵船の優位性>
 このようにデータ上では、当社グループは過去30年間、順風満帆の航海を続けてきたように見えます。しかし、この一見順調そうな成長は、自然に与えられたものではありません。我々の先人たちが、創意工夫を凝らしながら、必死に差別化の道を探し、世界の海運界で少しでも「優位性」のあるポジションを確保しようと日夜研さんを重ねてきた結果です。我々が培ってきた「優位性」の源泉は大きく次の4点があげられます。
 
1. 戦後、粘り強い努力により海運同盟に復帰したことで安定的な航路運営ができた
2. 安全・安定・信頼を旗印に、多くの日本企業との緊密な関係を築き上げた
3. 限られた資本という制約の中で、先駆者として革新的な船舶を手掛けてきた
4. 技術力に秀でた日本の造船所と共に、高い品質と競争力を誇る船舶を建造してきた
 
これらの優位性を最大限に活用することで、オイルショックや円高不況、需給ギャップによるマーケットの低迷といった荒波をくぐり抜けてきたわけです。ところが、世界経済のグローバル化に伴って海運業を取り巻く環境が大きく変わり、これらの優位性はもはや失われようとしています。すなわち、
 
1. 航路の安定化に寄与した海運同盟は過去の遺物となる
2. 海上貿易の主役が日本からアジアを中心とした新興国へ移り、日本企業以外の新たな顧客層の開拓が不可欠となる
3. 金融の自由化によって投機的な資本が海運業に流れ込み、特別な知見やノウハウがなくとも船舶を造れる環境が生まれる
4. 韓国・中国の造船所の台頭により建造能力が拡大し、船舶のコモディティ化が進行する
 
これまでのやり方に執着し、創意工夫の努力をやめてしまっては、今後生き残ることすら難しいでしょう。
 
<次なる時代への道標> 
 先に述べた過去の「優位性」は、先人たちの努力のたまものであったことを考えれば、次なる「優位性」を我々自身の手で作り出すこともまた可能でしょう。我々は悲観することなく、立ち止まることなく、新たな差別化の芽を育てていかねばなりません。現場感覚を研ぎ澄まし、新しい変化の風に常に敏感であること。これこそが、当社グループのDNAであり、私が社長に就任して以来、繰り返し申し上げている「きらり技術力」の本質です。
現在では、中期経営計画“More Than Shipping 2018”の下、新たな差別化の芽を追い求めており、それらの中から、次なる「優位性」が生み出されることを期待しています。
これまで申し上げてきた幾つかのキーワード、すなわち、急速なグローバル化と船舶のコモディティ化、「優位性」の喪失と新たな確立をあらためて意識してください。そして、それぞれの立場や職責でこれから何をすべきか一生懸命考えて欲しいと思います。これを実現するには、皆さんの職場に必ず蓄積されている「知恵」を結集する作業が必要となります。自分自身の頭で考え、かったつに議論し、そして実際に行動に移すことが大切です。
この春、社長に就任するにあたり、日本郵船歴史博物館を訪れ、当社の歴史を学んできました。当社グループの歩んできた道のりはまさにチャレンジの歴史であったといっても過言ではなく、その不断の努力にあらためて誇りを覚えました。その歴史の中には、世界や日本で初めて成し遂げた事業が幾つもあります。このような「フロンティアスピリット」をいかんなく発揮し、130年の歴史に安住することなく、一緒に新しい未来を切り開いていきましょう。
 
                                   以上
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