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代表取締役社長 内藤 忠顕、就任挨拶
―新たな一歩を今踏み出します。一緒にがんばろう―

2015年4月1日

2015年4月1日、本店15階ホールで内藤新社長より就任挨拶がありました。
 
【経営方針 - 堅実かつ 積極果敢に -】
2014年度よりスタートした中期経営計画 “More Than Shipping 2018”は、従来型の海運会社の枠を超えた幅広い海・陸・空のサービスによる差別化戦略を追求する内容になっています。その戦略の源泉は、約30年前に制定された中長期経営ビジョン“NYK21”に基本認識を見ることができます。21世紀に向けて成長していくためにはそれまで経営の主軸であった定期船だけに頼らず、海運プラスαとなるロジスティクス分野の拡充など事業の多角化を進めることが不可欠だと考えられたのです。
現在、この多角化戦略は“More Than Shipping”として結実し、リーマン・ショック後の混乱の中、われわれの目指すべき灯台として輝き続けてきました。私はこの差別化戦略を引き続き強化していくべきと考えています。   
 
2000年代前半は中国の旺盛な物流需要に支えられ、船隊整備を積極的に進めました。それは、われわれに経営規模の拡大という果実を与えてくれましたが、リーマン・ショックによる急激な需要の縮小によって過大投資という負の遺産も顕在化させる結果となりました。その処理にいまだ苦労している現実を考えると、投資判断を行う過程で、事業の採算性が自らの能力にきちんと委ねられているか、言い換えれば他律的なファクターに多くを依存していないか、冷静な目で検証することが大切です。そのバランスを見極め、必要なリスクテークは行うという合理的な考え方が重要であり、このような適正な判断過程 (due process) に基づく「堅実さ」が船会社の経営には常に求められると思います。
 
一方で、海運や海運を含む物流業は間違いなく有望な成長産業です。アジア域内やBRICsに代表される新興国は今後も高い成長率で伸びていくはずで、これら成長地域のニーズを的確に捉えながらわれわれの事業をさらにグローバルに展開していく必要があります。そのために、皆さんには進取の気性や開拓者精神を発揮して「積極果敢」にチャレンジしてほしいと願っています。
 
堅実な経営判断で長期安定のビジネスをしっかりと固めて、「積極果敢」に成長性の高い事業に挑戦する - この二面性こそが重要でありNYKグループの長い歴史の中でわれわれのDNAとして脈々と受け継がれています。 
 
「堅実さ」と「積極果敢さ」のキーワードをベースに、NYKのあるべき成長戦略をもう一度考え直し、確実にMore Than Shipping 2018の目標を達成しようではありませんか。
 
【新しいことはいつもNYKから】
NYKグループの歩んできた道を振り返ると、さまざまな挑戦と創意工夫の歴史であったことが分かります。創業から間もない1896年には日本の主要産業であった紡績業を支えるため欧米豪の三大定期船航路をほぼ同時に開設し、また戦後、産業の多様化と貿易の発展に合わせて、フルコンテナ船、自動車専用船、LNG船、チップ船といった革新的な船をいち早く導入し、最近ではドリルシップやシャトルタンカーといった海洋事業にも参入しました。こうした挑戦の歴史が現在のNYKグループの幅広い事業ポートフォリオに如実に表れています。
物流が高度に発達した現代において大切なのは、現場の人間がお客さまの要望を徹底的に解剖し、そのニーズに対して「気付き(awareness)」を得るマーケットインの姿勢です。そして、「気付き」を積み重ねることによって、お客さまにとって何が障壁であり、何を変えるべきかが見えてくるはずです。
 
現在の中期経営計画の中で「きらり技術力」を副題として掲げたのも、お客さまにとっての問題解決力が、我々のような輸送業者にとって競争力の鍵になると考えたからです。ただし、「技術力」という言葉が必ずしも技術的なイノベーションを指しているわけではありません。われわれの目指す「技術力」とは英語訳で使われている “Creative Solutions” という言葉が示すように、われわれが持っているノウハウや知見をどのように利用して、組み合わせれば、お客さまの求める解決策に到達できるかを提示する創造的な力です。したがって、「きらり技術力」の追求は、技術部門や海務部門といった一部の特定された部署の責任ではなく、お客さまの生の声を聴くことのできる営業部門、会社のインフラを支えさまざまな3M(ムダ・ムラ・ムリ)を解消することのできるコーポレート部門も積極的に関わり、全社一丸となって取り組むべき課題です。
 
そして、“Creative Solutions”は会社や組織全体で課題に取り組み、場合によっては第三者の専門家を巻き込みながら徹底的に方法論を議論することで初めて解決策が見えてくるのだと思います。さらに大切なのは、会社や組織全体で取り組むべき課題をグループ社員一人ひとりの「気付き」によってより多く積み重ね、それらを職制に落とし込み、お客さまの要望に応えていくことです。 
 
今後、これらの活動を通してお客さまにとって「新しい」「さすが」と感じていただける提案を一つでも多く行うことがNYKグループの競争力につながると信じています。
 
【働きがいのあるグループであり続けるために】
NYKグループは今年10月1日に創業130周年を迎えます。これほど長きにわたってグループが存続してこられたのは、先達が積み上げてきた自由闊達(かったつ)で風通しの良い社内風土があったからこそだと感謝しています。健全な議論と幅広い情報交換によって生み出された活力が、さまざまな「きらり技術力」を生み出す源となっています。自由な議論なくして自由な発想は生まれないことを忘れず、より働きやすい創造的な環境を一人ひとりの手でつくり出す努力を行ってください。
 
今後のグループの持続的な発展を考える上で重要なキーワードの一つが「人材育成」だと考えています。特に課長代理やチーム長といった中堅層は、日々の実務やプロジェクトを直接担う、現場の中心選手です。そういった皆さんが、最大限能力を発揮できるような人事施策を考えていく所存です。
また、「安全・安定・信頼」の確保はわれわれの事業を遂行する上で、最も重要な価値基準だと捉えており、NYKといえば「安全・安定・信頼」だとお客さまに認識してもらえるよう全部門で力を合わせて誠意・創意・熱意を発揮してください。
 
さらに、年齢や性別を問わず誰もが活躍できる「多様性」の推進や公正な事業を行っていくための「コンプライアンス」の順守も併せて重要な課題だと捉えています。
 
 最後になりましたが、皆さん、130周年は一つのマイルストーンにすぎません。これから私と一緒になってより良い、そして力強いNYKグループを築いていきましょう。
 
 

以上

掲載されている情報は、発表日現在のものです。
その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。