給仕の執務心得

戦 前、客船のスチュワードに配られたテキスト『給仕の執務心得』。
 「本書はサーヴィスの精神を教ふるを目的とし、傍らサーヴィス上必要なる英語ならびに給仕の平常使用する原語を教示せり」 と冒頭にあるように「どのような心構えでサービスをすべきか」「お客さまがよしとする給仕とはいかなるものか」が詳しく記されています。外国人船客の多かった当時、英語による「品の良い」受け答えを例を挙げて説明したり 「食堂給仕は乗船後二、三日中にその客の嗜し好こうを捉とらへ得る観察眼を持たねばならぬ」 とサービスのコツを教えるなど、内容は多岐にわたっています。


[パンフレット写真]
[パンフレット写真] 当時の食堂給仕


[パンフレット写真]
表紙

 こうしてスチュワードたちが身につけた一流のサービスが、外国人船客の称賛の的となったのです。一方、食器の並べ方、掃除の仕方、ベッドの整え方については 「古参給仕が実地に指導する方が遥はるかに効果的なれば、本書は之を省略せり」 とあることから、文章では表現し難い、細やかなサービスのコツを身に付ける「職人」としての世界も垣間見られます。

 

Back Number 日本郵船歴史博物館

社内報「YUSEN」
2004年3月号

【表紙】ボスポラス海峡を通る“Sea Baron”
(日之出郵船運航モジュール船。竣工:1982年、全長:150m、夏季満載喫水:5.025m、総トン数:10,377トン)