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海風日記

橋口五葉とNYK

カレンダーを持つ女性 橋口五葉 1913(大正2)年 トリグラフ 縦92.2×横61.7cmカレンダーを持つ女性』は1913(大正2)年にNYKが作製したカレンダー付きポスターです。作者は、木版画、日本画、洋画、装丁、挿絵、私家版※を手掛け、また浮世絵研究家でもあった橋口五葉(1881~1921)で、当社と浅からぬ縁のあった人物です。

庇髪ひさしがみにリボンを結ぶという明治末期に流行した女性の姿が描かれており、同時期に流行したアール・ヌーボーの要素が全体に見られます。また画面は装飾的かつ平面的で、壁紙は海を思わせる文様で彩られています。女性が手になにかを持つ姿は客船ポスターの典型的構図でしたが、このポスターは当時の時代を反映させながらも船会社のイメージに沿っている点で、他の美人画ポスターと一線を画するものがあります。

五葉には、造船技師として当社に勤務していた兄半次郎がおり、同じく当社の専務取締役で浮世絵蒐集しゅうしゅう家でもあった三原繁吉の仲介で仕事が依頼されたといわれています。1912(大正元)年10月10日から本名の「橋口清」で年俸300円の嘱託社員として当社の発行する印刷物の意匠図案のデザイナーを務めていたことが確認できます。当時の会社案内、航路案内のパンフレットや乗船名簿など、五葉が手掛けた印刷物は数多くあり、実に多彩な才能を見せた人物でした。

※ 私家版:狭い範囲で配布することを目的とした自費出版で制作される書籍