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    -第131回創業記念式典で社長があいさつ-
 
 

勇気と覚悟を持って新しい時代の日本郵船をつくっていこう
-第131回創業記念式典で社長があいさつ-

2016年10月3日

当社の第131回創業記念式典が10月3日、東京都千代田区の本店15階ホールで開催され、社長の内藤忠顕は次のようにあいさつしました。

<はじめに>
  今年は、4年に一度のビッグイベントであるオリンピック・パラリンピックがリオデジャネイロで開催され、各国の選手の活躍に世界中が興奮し、大きな感動を与えてくれました。いくつもの素晴らしいシーンがありましたが、その中でも陸上男子400mリレーにおける日本チームの活躍は特筆すべきものでした。
  強豪であるジャマイカやアメリカはメンバー全員が9秒台の個人記録を持っています。対する日本チームは全員10秒台の記録しか持たず誰も100mの決勝に進めなかったにも関わらず、37秒60の記録を出して見事銀メダルを獲得しました。
この快挙は、「技術力」と「チームワーク」の勝利と言われています。個々のスピードで勝る強豪国に伍していくために、まずは自分たち能力・長所・短所をしっかりと認識し、走力では劣る現実のなか、日本チームはバトンパスに着目し、差別化のための創意工夫を凝らしました。
  そして不断の努力と「チームワーク」を発揮した結果、4人のメンバーが目標に向かって文字通り一丸となって、それぞれの役割を果たし、バトンをきっちりつないで大きな成果を生み出したのだと思います。

この姿は、移り変わる世の中の状況に対応し、創意工夫を重ねて必死に差別化の道を探してきた当社の歴史とも少なからず重ねあわせることができます。ここで、過去の歴史からいくつかの事例を紹介します。

<創意工夫の歴史>
一つ目は「貿易業と運輸業の分離」です。日本郵船の設立以前で郵便汽船三菱会社の時代、まだ日本の海運業が黎明期であった頃の話です。当時は、日本の海運業者は積港で貨物を買い、揚港で売っていましたが、岩崎弥太郎は海外の蒸気船会社にならい、輸送に特化するべく売買と輸送を切り離しました。

これは革新的な視点や実行力の賜物ですが、その例はこれだけではありません。当時は江戸時代から続く両替商が金融ネットワークとして機能するなか、荷主は、運賃を海運業者へ支払う一方で、貨物の代金回収を両替商と行う必要がありました。この二度手間を解消すべく、岩崎弥太郎は代金回収サービスを積極的に始めたことで、荷主が自然と集まってくるようになりシェアを伸ばすことに成功しています。岩崎弥太郎は創意の人であり、当社は創意工夫をもって差別化してきた歴史の嚆矢(こうし)であったと言えます。

二つ目は昭和40年代の話です。
定期船事業を母体に出発した当社は、昭和40年台から日本経済の高度成長期におけるビジネスモデルの変革に合わせて、燃料炭、チップ、自動車、タンカー、LNGなど専用船事業へ果敢に挑戦しました。
時代の変化を読み取る先見性に加えて柔軟性と機動性をもって対応し、お客さまから信頼されるパートナーとして認めてもらうことを重要視し、実践したのです。これにより、産業構造の変化やエネルギー供給転換などの荒波を乗り越えてきました。

三つ目はもっと近年の例です。
同盟の衰退を背景とした定期船事業の競争激化という環境の変化に対応した物流事業への挑戦です。プラスαの付加価値によって新たな競争力を追求し、高度化・複雑化していくお客さまのニーズに対応し、創意工夫を積み重ねて事業を拡大してきました。現在では郵船ロジスティクスを中心に、世界40か国以上、2万人以上が物流事業に携わっており、当社グループの安定収益を支える事業に成長しています。

最後はごく最近の事例です。小さな試みですが創意工夫を重ねてITを活用し、お客さまのニーズに対応してプロダクトを提供し他社との差別化を図るため、シンガポールでスタートアップ企業「Symphony Creative Solutions Pte. Ltd.」を設立しました。スピード重視でプロダクトを産み出して、市場の反応を得て 素早く改良版を出し、また市場のフィードバックを得て改良する、というサイクルを重ねています。
時間をかけて完璧なものを作るというアプローチでは事業環境の変化には対応できないという認識で始めた試みであり、当社だけでなくそれぞれの得意分野をもったパートナーと組むことで速さと奥ゆきを実現しています。

以上見てきたように、冒頭のオリンピックでの男子400mリレーのごとく、われわれも自分たちの強みや弱み、そして何よりも世の中の変化、お客さまニーズの変化にアンテナを張り、創意工夫をもって差別化を追求することでここまで歩んでくることができました。


<明るい未来を切り開くために>
インターネットの普及により生活の基盤や産業のあり方が大きく変わっていくなか、強力な既存のライバルはもちろんのこと、今後急速に力を伸ばしてくるであろう新興国の新規プレイヤー、更にはIT企業などの他分野からの参入者などに打ち勝っていかなければなりません。それには、これまで以上に創意工夫と差別化を実践していく必要があることは言うまでもありません。

世界の人口は現在の70数億人から2050年には100億人に迫る勢いで増加すると予想され、人口増加はエネルギー、食糧はもちろん世界の物流需要を高めることになります。「モノ運び」を通じて豊かさや幸福という夢の実現を支援するのが私達の仕事ですが、夢の実現への道のりは険しく、時として痛みを伴う改革も必要かもしれません。
新しいことをはじめる、今までのやり方を変えることには私も含めて誰もが不安を覚え、実行には勇気が要ります。しかし、いま 目の前にある激流に耐え、明るい未来を切り開くため、勇気と覚悟を持って新しい時代の企業グループをつくり、この大競争時代を勝ち抜いていきましょう。

以上
 

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その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。