海での取り組み

船舶運航での安全への取り組み

日本郵船グループでは、安全運航の確保が当社グループにおける事業活動の基盤であるとの認識の下、社長を委員長とする「安全・環境対策推進委員会」を設置し、海陸の関係者が一丸となって継続的な取り組みを進めています。

安全・環境対策推進委員会

社長を委員長とする安全・環境対策推進委員会において、毎年、前年度の活動レビューを行い、当年度の年間活動目標や活動方針を決定しています。本委員会で決定された活動方針は、船種別などに設けられた小委員会で具体化し、安全推進活動として実行に移しています。

安全推進体制図

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安全運航の現場最前線である船舶がオフィスから遠く離れた環境にある海運においては、関係者で目標を確実に共有し、PDCAサイクルによる地道な活動を持続することが最も重要であると考えています。そのため、事故・トラブルの情報はデータベース化され、安全運航の達成度を遅延時間によって計るとともに、トラブルに内在するリスクを都度評価することで改善活動の方針を決定しています。これら方針や対策は、月刊誌「CALM SEA」により安全情報として運航船全船に周知され、当社独自の運航管理システムであるNAV9000による監査活動により現場において安全推進活動が確実に実行されていることを確認しています。

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安全推進活動

安全推進活動のさらなる強化

安全推進への取り組みを日本郵船グループの文化として定着させ、さらに高めるべく、安全推進キャンペーンを定期的に展開し、海陸の関係者がその時々に応じた共通のテーマを通じ意見を交換することで、相互の理解を深める取り組みを実施しています。キャンペーン期間中は、多くの役員、社員が船を訪問し乗組員と安全について直接対話する機会や、船主や船舶管理会社関係者にお集まりいただき議論を深める機会を設けることで、現場により近い活動となるよう工夫しています。
また、日々の情報共有のツールとして、事故速報を周知する“CASUALTY REPORT”、事故・トラブルの予防指針を伝える“SAFETY BULLETIN”、機関系情報に特化した“MARINE ENGINEERING INFORMATION”、保安情報に関する“SECURITY INFORMATION”など、即応性に配慮した情報の配信により、安全推進活動のさらなる強化に努めています。

※ 安全推進キャンペーン
毎年、夏、冬の2回展開。夏は1997年に東京湾にて発生した原油タンカーDIAMOND GRACE号の座礁事故を教訓とした活動。冬は、冬季の荒天に起因する事故を含めた海難の防止を主なテーマとして展開。

遅延時間で安全を計る

日本郵船では、船舶の安全運航の達成度を計るため、事故・トラブルによって運航が止まった時間を指標として取り入れ、遅延時間の“ゼロ”化を目指し、海・陸一丸となって目標達成に取り組んでいます。

遅延時間の推移

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ニアミス3000

ニアミス3000活動

我々が取り組んでいるニアミス3000活動は、事故を未然に防ぐことを目的とした活動です。ハインリッヒの法則に基づいて、見過ごしがちな事故の予兆を対象とし、初期の段階で事故の芽を摘み取る活動を、DEVILを見逃さない「DEVIL Hunting !」というスローガンにして、2006年から当社グループのパートナーである船主や船舶管理会社に展開しています。

この活動は船舶乗組員の安全意識を啓蒙し、衝突の予防、機器の故障予防、作業中の事故予防など、乗組員が日常業務の中で常に安全意識を持って行動し、それを継続することで、より安全で作業しやすい環境づくりを目指しています。

※ DEVIL Hunting !
DEVILは、Dangerous Events and Irregular Looks(不安全行動や不安全状態)の略。
重大事故に至らないように、前兆や要因などを初期の段階で排除することを目的とした活動
DEVIL Hunting ! ポスター

ニアミス報告件数

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2015年度ニアミス要因

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海難への備え

事故対応訓練

社員の事故対応能力を高めるために、定期的に訓練を実施しています。より現実的な訓練にするため、船の種類や大きさ、事故、トラブルの内容は毎回変えて行います。また、訓練では運航船や船舶管理会社に加え、官公庁やお客さまなど多くの関係者にも参加していただいています。2015年10月の訓練には国土交通省海事局、海上保安庁海上災害防止センターに参加いただき、関係各署との連携を含めた実践的な訓練となりました。訓練のレビューにも重点を置き、そこで得られた意見を基に事故対応体制の強化を図っています。

緊急対応ネットワーク

世界中のあらゆる海域で発生する事故・トラブルに備え、世界4拠点体制で緊急対応のためのネットワークを構築しています。

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CASE STUDY 進化する安全×日本郵船

ヒューマンエラーを減らせ
-創意工夫で乗組員の負担軽減

船舶乗組員の安全意識を啓発し、衝突の予防、機器の故障予防、作業中の事故予防など、乗組員が日常業務の中で常に安全意識を持って行動し、それを継続することで、より安全で作業しやすい職場環境づくりを目指しています。

事故撲滅に向けた活動「POWER+プロジェクト」

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当社は、これまで行ってきた品質保証のさまざまな活動に加え、「POWER+プロジェクト」を開始しました。
この活動は、「安全は従うのではなく、それを自ら選択して実行し確立する」「互いに気遣い助け合うことを通じて個人から集団へと安全文化を醸成していく」という2つの基本コンセプトの下、ヒューマンエラーに起因する操船および人身事故の撲滅を目的とした次世代の安全活動です。
本活動は、当社グループの中核を成す船舶管理会社であるNYK SHIPMANAGEMENT PTE LTD.で2015年に開始。
この新たな概念を同社経営層から現場の船員にまで幅広く浸透させるため、各種ワークショップ、ブリーフィング、訪船啓発活動などに取り組んでいます。同社では、これまでの主流であった技術力向上からのアプローチだけではなく、お互いを気遣い、助け合う意識を引き出すことで、ソフト面からも安全文化の醸成を目指しています。
こうした取り組みが評価され、2015年9月には、国土交通省の「平成27年度船員安全取組大賞」を受賞しました。将来的にはこの成果を当社グループの全運航船に展開し、さらなる安全確保を目指していきます。

事故発生件数の推移(イメージ)
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基本コンセプト:We are one team-one family
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活動事例

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乗船中、乗組員は安全に活動することを宣言した「Safety Passport」に家族の写真を貼り付けて所持。さらに船内で自己紹介や家族の話をすることにより、お互いの理解を深め、乗組員全員が家族だという気持ちの醸成を促す。

一等航海士コメント

船内で乗組員同士、互いの家族写真を見せ合うと、自然と顔がほころび、話がはずみます。そのような機会を設けることで、お互いを思いやる気持ちが生まれ、安全意識も高まったように思います。正しく安全具を着用していないクルーを見つければ、互いに注意することも増えましたし、朝の作業前ミーティングでも、さまざまな発言が飛び交うようになりました。家族があって仕事がある、笑顔で帰るためにも、安全運航はゆずれない。忘れがちな大切なことを、POWER+が教えてくれました。

CASE STUDY 学生×日本郵船

自ら育成した船員が
当社グループの安全運航を実践

外航海運業界で続く船員不足
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* 船舶数は毎年2%程度上昇していく一方、船員数は毎年1万人以上不足する見通し

世界の船舶数が今後も増え続ける見通しの中、外航船社にとって優秀な船員確保は喫緊の課題となっています。当社グループは、学生の教育段階から関与し、陸上・船上での徹底した訓練、自主学習ツールの完備など船員の養成に力を入れています。自らの手で育成することは多大な費用と時間がかかりますが、当社に対し高いロイヤルティーを持った船員の確保や、企業文化の浸透というメリットがあり、定着率の向上が期待できます。

日本郵船における商船大学の歴史
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2007年に設立したフィリピン商船大学NYK-TDG Maritime Academy(NTMA)では、2011年の第一期生卒業を皮切りに、これまでに600名以上の船員を輩出しました。NTMAでは、高水準の船員教育を担保するため、カリキュラムに日本郵船が求める高水準なスタンダードを反映させるとともに、一部の講義については、当社海技者が担当しています。さらに、理数系の基礎学力の強化のため、日本式の独自プログラムを導入し、自主学習できる環境を整えました。
ほかにも、フィリピンの地元銀行の協力を得て、経済的な制約がある学生に対するサポート体制を充実させ、優秀な学生の継続的な採用に努めていることもポイントです。
2020年頃には、船長や機関長、陸上での船舶管理・営業支援、ハイリスク船での幹部職員として活躍する第一期生の登場が期待されます。長期雇用を前提に、継続的に育成していくことで、当社グループとしてどんな貨物でも安全・確実に輸送できる力を維持・向上させていきます。

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訓練を重ねる学生

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NYK-TDG Maritime Academy

卒業生メッセージ

Jose Tosoc Jr
二等機関士
NTMA第一期卒業生

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NTMA第一期生として卒業し、現在はケミカルタンカーに二等機関士として乗船しています。教育期間中は「NTMAはトレーニングの場、船舶は実践の場。心構えですべてが決まる」と、何度も教え込まれました。加えて、当社のフィリピン人船員には家族にも似た一体感があり、これは他船社にはない強みだと言えます。皆、この仕事が好きで、誇りを持って働いているのです。
第一期生の一員になれたことは光栄ですが、責任も感じています。NTMAの使命とビジョンを守り、日本郵船㈱とNTMAの活動すべてを支えていきたいと思います。今後も、企業の成長に貢献することであれば何でも喜んで取り組みたいと思います。

Anthony Aguilar
三等航海士
NTMA第一期卒業生

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NTMAは航海術、操船術、総合文化など教科科目を選ぶだけではなく、私たちが日本郵船㈱の航海士や機関士としてふさわしい、より良い人材になるよう指導してくれました。船上で私たちは船員としてだけでなく、それ以上に家族の一員として扱われます。NTMAを卒業後、私は次席航海士を経ずに三等航海士に任命されました。大変厳しい任務でしたが、忍耐強く助けてくれる、兄のような存在の先輩がいたので、プレッシャーや困難に耐えることができました。未熟ではありますが、企業のさらなる成長に貢献できるよう、責任ある航海士になるため最善を尽くします。



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