コンプライアンスの強化

独占禁止法への対応

当社グループは、2012年9月以降自動車等の貨物輸送に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、欧州その他海外当局の調査の対象となっています。また、当社および一部の海外現地法人は、米国およびその他の地域において損害賠償請求訴訟(集団訴訟)を提起されています。
ステークホルダーの皆さまには、多大なご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
当社は従前から、社長による独占禁止法遵守徹底の表明、社内各部門・国内および海外グループ会社における統制ネットワークの構築と運用、同法マニュアルなどの整備や各種研修による社内の啓発と教育、同業他社との接触規制などの諸施策を実施してきましたが、結果としてこのような事態を招いたことを真摯に受け止め、さらにグループ役員・従業員一人ひとりの意識を高め、独禁法遵守を再徹底するための体制構築および活動を推進しています。

再発防止に向けた取り組み

マネジメントレベル
独禁法遵法活動徹底委員会を2013年4月に設置。年2回の開催により、各部署における取り組みを各部門マネジメント間で共有しています。2015年度も9月(123名出席)と3月(126名)に開催しました。
現場レベル
国内外グループ会社を含む全事業部門が主体的にリスクアセスメントを行い、ガイドラインを策定しています。リスクアセスメント終了後、事業部門と法務部門がガイドラインの見直しを実施しています。
事業案件レベル
新規投資案件については、社内弁護士などの専門的な視点からも審査を実施しています。
個人レベル
社員一人ひとりから独占禁止法・競争法遵守に関する誓約書を取得。2014年度からは、国内外グループ会社に拡大展開しています。

2015年度 独禁法研修受講状況

  実施回数 受講者数
研修* 87回 1,999名
eラーニング(日本語、英語、中国語) 1回 11,799名

* 2009年度以降延べ19,445名

図 国内の独占禁止法や海外の競争法に関する知識習得と遵法意識の向上、さらに実務で実践することを目的に、独占禁止法マニュアルを改訂し、日本語・英語に加え、新たに中国語版を作成しました

研修活動

日本郵船グループ社員一人ひとりの独禁法コンプライアンス意識の徹底を図るため、国内外グループ会社を対象に、独禁法研修を実施しています。2009年度より開始し、これまで延べ19,445名のグループ社員が参加しています。2015年度は合計87回開催、延べ1,999名が参加しました(国内:69回/1,382名、海外:18回/617名)。
上記研修に併せて、国内外グループ会社を含む全事業部門を対象に、eラーニング(日本語・英語・中国語)を導入し、2015年度は合計11,799名(国内4,569名/海外7,230名)が受講しました。今後も継続的な研修活動を通じ遵法徹底に努めます。

贈収賄禁止の徹底

2014年1月に日本国不正競争防止法(外国公務員贈賄罪)、米国海外腐敗行為防止法、英国贈収賄防止法などに対応する贈収賄禁止に関する基本方針およびガイドラインを整備し、当社グループ内に周知徹底を実施しました。

コンプライアンス活動

当社は、コンプライアンスを保持・促進するため、コンプライアンス委員会を設置し、年2回開催しています。委員会では、社長を委員長とする委員会メンバーがコンプライアンス施策について討議を行っています。
また、毎年9月を当社グループのコンプライアンス強化月間と定め、総点検活動を実施しています。2015年度は、従来の「予防」に加え、「早期発見」に重点を置き、社会のさまざまなステークホルダーの視点から守るべきルールを、社員一人ひとりが理解し、自らの行動を見つめ直すとともに、周囲にも目を向け、公私混同していないかチェックすることを呼びかけました。
強化月間中に実施したアンケート調査では、行動規準に関するセルフチェックに加え、職場における違反の芽を早期に発見するため、無記名アンケートを実施しました。調査結果は、施策の見直しにつなげるとともに、社内イントラネットで公開しています。
国内、および海外各地域の事情に応じて設置しているヘルプライン(国内では「郵船しゃべり場」など)の効果的な運用により、不正防止につながる情報を迅速に収集し、ただちに是正できる風通しの良い企業風土の醸成に努めています。

※ 郵船しゃべり場
社外弁護士を含む6名を「聞き役」とし、コンプライアンスに関わる相談・通報を幅広く受け付けています。利用対象は当社および国内グループ会社62社。

2015年度 コンプライアンス研修受講状況

  実施回数 受講者数
集合研修* 11回 538名

* 2002年度以降延べ357回、9,730名

日本郵船グループのコンプライアンス体制図

図

コンプライアンス強化に向けた主な取り組み

1997年
  • 企業行動憲章の制定
1999年
  • 行動規準の制定
2002年
  • チーフコンプライアンスオフィサーの設置
2005年
  • 日本郵船グループ企業理念の制定
2006年
  • 内部統制委員会の設置
2008年
  • 独占禁止法タスク・フォースの設置
2013年
  • 独禁法遵法活動徹底委員会の設置
2016年
  • 新規事業立ち上げ時における外国公務員贈収賄防止対策の導入
  • 日本郵船株式会社行動規準の改正(予定)

CCOメッセージ

日本郵船グループにおける「コンプライアンス」の基本的な考え方を教えてください。

昨今、独占禁止法や贈収賄法などにおいて、法に抵触するかどうかの判断が難しいケースが出てきています。社員が意図せず法律に触れることのないよう、道筋をしっかりとつけておく必要があります。当社グループにおけるコンプライアンスの原点は、その企業理念にあります。安全・確実な「モノ運び」を通じて、人々の生活を支える。つまり、自分たちの仕事は社会のためにあるのだと強く意識することです。ただ、そのためなら何をしてもいいという判断を絶対にしてはなりません。お客さまのため、会社のためと思った行動だったとしても、状況によっては誤解を招く恐れがあることを社員一人ひとりが認識することが必要です。

吉田 芳之
吉田 芳之
取締役・常務経営委員
チーフコンプライアンスオフィサー
(CCO)

グローバルに事業を展開している中で、近年、特に注意すべきコンプライアンスリスクは何でしょうか?

独占禁止法に加えて、今対応しなくてはならない問題が贈収賄をはじめとする腐敗防止です。各国の特性に合わせ、地域ごとのルールを制定します。贈収賄の判断はとても難しく、完全に規制してしまうと、事業展開に支障をきたす場合もあります。ビジネスにはリスクがつきものです。そのリスクを恐れていたら、社員は何もできなくなってしまいます。どこまでなら許容されるのかガイドラインを作ることで、社員が業務に集中できる環境を提供したいと考えています。
ほかに、人権や労働慣行も挙げられます。当社グループは2006年に国連グローバル・コンパクトへの支持を表明しており、人権、労働、環境、腐敗防止の4つのポイントについて、世界に点在するグループ会社に対しHR(Human Resources)サーベイを実施しています。もう一つは経済制裁です。実際、過去に経済制裁によって資金決済が凍結され、当社船舶の入港が危ぶまれたという事態が起きたことがありました。このようなさまざまな課題に対応するために、2015年から各地域に各国の法律や事情に精通したリーガルカウンセルを配置し、情報収集を徹底するとともに、法律的な対策を速やかに講ずる体制を構築しました。

コンプライアンス意識を一層浸透させていくためのポイントを聞かせてください。

研修を世代ごとに積み重ねていくことです。また、2013年4月に設置した「独禁法遵法活動徹底委員会」は、今般、「独禁法“等”遵法活動徹底委員会」に名称を改めました。先述の通り、コンプライアンスリスクは独禁法だけにとどまりません。名称をあえて変えることで、改めて、あらゆるリスクに徹底的に対応していく姿勢を全社員に示したいと考えています。さらに、行動規準の見直しを行います。見直した行動規準は、冊子にして配布するだけでなく、社員一人ひとりがサインすることで、社員には自分事として、日々の行動に反映してほしいと考えています。これは本社のみならず、世界中で実施する予定です。



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