コンプライアンスの強化

CCOメッセージ
改正行動規準の徹底と海外法務拠点との連携強化

吉田 芳之
取締役・常務経営委員
チーフコンプライアンスオフィサー:CCO
総務本部長 吉田 芳之

Q 日本郵船では、17年ぶりに行動規準を大幅に改正しました。
    主な変更点やどのような狙いがあったのか教えてください。

近年、ビジネスのグローバル化、高度化が進むにつれ、企業はさまざまな国や地域の法令・社会規範を守りながら事業を進めなければならなくなりました。当社は、1999年に経営理念に基づき行動規準を制定していますが、こうした社会情勢の変化や時代の潮流に鑑み、17年ぶりに行動規準の大幅な改正を行いました。
今回改正した行動規準では、競争法・独占禁止法の遵守や贈収賄禁止条項を独立させたほか、人権尊重の内容を充実させ、企業活動を行ううえで役員・従業員 ※が目指すべきもの、やってはいけないことを明示しました。そして、行動規準の趣旨や背景を補足するガイドブックを全役員・従業員に配布するとともに、計66回に及ぶ説明会を実施し、その浸透を図りました。
さらに2017年度からは、全役員・従業員から行動規準の遵守に対する誓約書を毎年取得することとしました。「誓約」という行為を通して、役員・従業員(社員に加え、他社からの出向者および派遣社員を含む)の一人ひとりが、会社が目指すべきものや企業活動を行ううえで守るべきことを再確認し、基本に立ち返るとともに、日々の自己の行いや職場環境を見直すことを促します。その結果として、自分を守り会社を守り、安心して働ける環境を整えられると考えています。

Q 海外3地域にリーガルオフィスを配置して3年目に入りました。
    今後どのような成果を期待しているのか聞かせてください。

各国の法律を網羅的に把握する体制を確立するため、本社の法務・フェアトレード推進グループと2015年に海外3地域に設置したリーガルオフィスの連携を深化させています。年2回の集合ミーティング(Global Legal Meeting)で各地域の運営方針や法制動向等の情報を共有するとともに、今後の方向性を確認しています。
また、独禁法のみならず贈収賄禁止等の重要性に鑑み、新規ビジネスにあたっては法務部門に相談する体制を確立し、リスクマネジメントの一助としています。
コンプライアンス研修については、本社が提示する方針のもと各リーガルオフィスが地域の特性に鑑みた内容で、地域内のグループ会社を対象に実施しています。
当社グループの事業活動を円滑に推進していくためにも引き続き、国内外法務部門の連携を強化し、リスク管理を徹底していきます。

独占禁止法への対応

当社グループは、2012年9月以降、自動車等の貨物輸送に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、欧州その他海外当局の調査の対象となっています。また、当社および一部の海外現地法人は、米国およびその他の地域において損害賠償請求訴訟(集団訴訟)を提起されています。
ステークホルダーの皆さまには、多大なご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
当社は従前から、社長による独占禁止法(独禁法)遵守徹底の表明、社内各部門・国内および海外グループ会社における統制ネットワークの構築と運用、同法マニュアルなどの整備や各種研修による社内の啓発と教育、同業他社との接触規制などの諸施策を実施して参りましたが、結果としてこのような事態になりましたことを真摯に受け止め、さらにグループ役員・従業員一人ひとりの意識を高めるべく独禁法遵守を徹底するための体制構築および活動を推進しています。

日本郵船グループの独占禁止法等遵法活動体制図

図

再発防止に向けた取り組み

マネジメントレベル
独占禁止法等遵法活動徹底委員会を2013年4月設置。社長以下、全役員、グループ長参加のもと年2回開催し、各部署における取り組みを各部門マネジメント間で共有しています。2016年度も9月(120名出席)と3月(同109名)に開催しました。
現場レベル
国内外グループ会社を含む全事業部門が主体的にリスクアセスメントを行い、ガイドラインを策定しています。リスクアセスメント終了後、事業部門と法務部門がガイドラインの見直しを実施しています。
事業案件レベル
新規投資案件については、社内弁護士などの専門的な視点から審査を実施しています。
個人レベル
従業員一人ひとりから独禁法(競争法含む)遵守に関する誓約書を取得。
2014年度からは、国内外グループ会社に拡大展開しています。

2016年度 独禁法研修受講状況

区分 実施回数 受講者数
研修* 260回 6,459名
eラーニング(日本語、英語、中国語) 1回 9,827名

* 2009年度以降延べ25,904名

研修活動

当社グループ従業員一人ひとりの独禁法遵守意識の徹底を図るため、国内外グループ会社、39カ国、131社を対象に独禁法研修を実施しています。2009年より開始し、これまで延べ25,904名が参加しています。さらに、国内外グループ会社を含む全事業部門を対象に、eラーニング(日本語、英語、中国語)を実施しました。今後も継続的な研修活動を通じ、遵法徹底に努めます。

贈収賄禁止の徹底

日本国不正競争防止法(外国公務員贈賄罪)、米国海外腐敗行為防止法、英国贈収賄防止法等に対応する贈収賄禁止に関する基本方針およびガイドラインを2014年1月に整備しました。当社グループ内への浸透のため、2013年度より国内外の従業員を対象に研修を実施しています。国内では階層別研修、グループ会社向け研修を年8回開催するほか、海外では地域ごとに年1回、独禁法研修と併せたプログラムで贈収賄禁止の周知徹底を図っています。

贈収賄デューディリジェンスの実施

高リスク国での新規事業検討にあたり、法務部門が贈収賄に関する確認を行う体制を2016年4月に確立しました。パートナーや代理店候補に贈収賄関連の問題がないかスクリーニングを行うとともに、契約締結時の贈収賄禁止条項を織り込みなどの提言や確認を行っています。

コンプライアンス活動

当社は、コンプライアンス活動を強化するため、年2回コンプライアンス委員会を開催し、社長をトップとする委員会メンバーがコンプライアンス施策について討議を行っています。
また、従業員自らの行動・業務プロセスを見直す機会として、毎年9月を当社グループのコンプライアンス強化月間と定め、セルフチェックと無記名アンケートによる総点検活動を実施し、調査結果を社内イントラネットで公開しています。
また、相談窓口として、国内、および海外各地域の事情にあわせたヘルプラインを設置しています。国内のヘルプラインのひとつである「郵船しゃべり場」には社外弁護士を含む6名の「聞き役」を置き、コンプライアンスに関わる相談・通報を幅広く受け付けています。
こうした施策を通じて、不正につながる情報を迅速に収集し、ただちに是正できる風通しの良い企業風土の醸成に努めています。

※ 郵船しゃべり場
利用対象は当社および国内グループ会社の計60社

2016年度 コンプライアンス研修受講状況

  実施回数 受講者数
集合研修* 10回 277名

* 2002年度以降延べ367回、10,007名

日本郵船グループのコンプライアンス体制図

図

※1 重大な事案の場合
※2 常勤監査役へ定期的かつ必要に応じ適時報告

コンプライアンス強化に向けた主な取り組み

1997年
  • 企業行動憲章の制定
1999年
  • 行動規準の制定
2002年
  • チーフコンプライアンスオフィサーの設置
2005年
  • 日本郵船グループ企業理念の制定
2006年
  • 内部統制委員会の設置
2008年
  • 独占禁止法タスク・フォースの設置
2013年
  • 独禁法遵法活動徹底委員会の設置
2016年
  • 新規事業立ち上げ時における外国公務員贈収賄防止対策の導入
  • 日本郵船株式会社行動規準の改正
2017年
  • 日本郵船株式会社行動規準への誓約書の導入


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